法人カードで社会保険料は払える?厚生年金・健康保険は口座振替・窓口・Pay-easyの3つだけ。労働保険もカード不可で、払えるのは国民年金保険料

厚生年金・健康保険は口座振替・窓口・Pay-easyでカード不可、労働保険は口座振替・電子納付でカード不可、国民年金はクレジットカード納付が可能という3段の対比を並べたアイキャッチ

国税と地方税が法人カードで払えるようになったので、毎月の社会保険料も同じようにカードへ寄せたい、と考える経理担当者は多いはずです。金額が大きいぶん、ポイントも支払いサイトの効果も大きくなります。2026年11月4日に日本年金機構と厚生労働省の公式ページを読んだところ、答えははっきりしていました。事業所が納める健康保険・厚生年金保険の保険料に、クレジットカードという選択肢はありません。労働保険料も同じです。カードで払えるのは、個人が納める国民年金保険料だけでした。

2026年11月4日に公式情報で確認した3点

  • 日本年金機構が挙げる厚生年金保険料等の納付方法は口座振替・金融機関の窓口・電子納付(Pay-easy)の3つ。クレジットカードは挙げられていない。
  • 厚生労働省の労働保険の特設サイトが案内しているのは口座振替納付と電子納付の2つ。こちらにもカード払いは無い。
  • クレジットカード納付の制度があるのは国民年金保険料で、申出書の提出が要る。被保険者とカード名義人が違う場合は同意書も要る。

厚生年金・健康保険の納付方法は3つ。カードは入っていない

日本年金機構の「厚生年金保険料等の納付」(更新日2026年10月1日)は、事業所が通知書等に記載された保険料額を納める方法として3つを番号付きで挙げています。1が口座振替、2が金融機関の窓口、3が電子納付(Pay-easy)です。クレジットカードは選択肢として登場しません。

日本年金機構が挙げる厚生年金保険料等の納付方法(2026年11月4日に確認。更新日2026年10月1日)
方法 必要な手続き 法人カードの可否
1. 口座振替 口座振替可能金融機関一覧で確認し、「保険料口座振替納付(変更)申出書」を記入、金融機関の確認を受けて事務センターか年金事務所へ提出 不可
2. 金融機関の窓口 「保険料納入告知書」(納付書)を切り離さずに提出 不可
3. 電子納付(Pay-easy) 収納機関番号00500、納付番号16桁、確認番号6桁を、インターネットバンキング・モバイルバンキング・ATM・テレフォンバンキングへ入力 不可
日本年金機構の厚生年金保険料等の納付のページの画面。更新日2026年10月1日と表示され、保険料の納付の概要として納付期限は納付対象月の翌月末日であること、保険料の納付の方法として1.口座振替、2.金融機関の窓口、3.電子納付(Pay-easy)が番号付きで並んでいる
日本年金機構「厚生年金保険料等の納付」。事業所の納付方法は3つで、クレジットカードは挙げられていない(2026年11月4日に表示)。

インターネット専業銀行で口座振替を希望する場合は、金融機関の確認を受ける手順を省略して、事業所の所在地を管轄する事務センターか年金事務所へ直接提出するよう案内されています。一部の金融機関・支店では口座振替の取り扱いがない場合があるとも書かれているため、使う銀行に確認してから申し出るのが確実です。

電子納付についても注意があります。日本年金機構は「電子納付により保険料を納付した場合は、領収証書が発行されませんので、領収証書が必要な方は金融機関等の窓口に持参して納付してください」としています。領収証書を証憑として残す運用にしている会社は、ここで方法が決まります。法人カードの利用明細の証憑としての扱いは法人カードの利用明細書はインボイスになる?で整理しています。

納付期限は翌月末日。告知書は毎月20日頃に届く

納付期限は納付対象月の翌月末日で、末日が休日の場合は翌日以降の最初の営業日です。保険料額は、事業主が出した資格取得・喪失・標準報酬月額・賞与支払等の届出内容をもとに、毎月20日頃に「保険料納入告知書」または「保険料納入告知額・領収済額通知書」として事業所へ送られます。

「保険料納入告知書」の発送日と納付期限(令和8年度下期。日本年金機構の公表値、2026年11月4日に確認)
納付目的年月 発送日 納付期限
令和8年9月分 10月21日(水曜) 11月2日(月曜)
令和8年10月分 11月18日(水曜) 11月30日(月曜)
令和8年11月分 12月18日(金曜) 1月4日(月曜)
令和8年12月分 1月21日(木曜) 2月1日(月曜)
令和9年1月分 2月17日(水曜) 3月1日(月曜)
令和9年2月分 3月18日(木曜) 3月31日(水曜)

発送から納付期限までは2週間弱しかありません。口座振替にしておけば、告知書の到着を待って振り込む作業が消えます。カードの支払いサイトを使って資金繰りを伸ばす手は使えないので、資金のやりくりは別の方法で考えることになります。

労働保険料も口座振替か電子納付の2つだけ

労災保険と雇用保険をまとめた労働保険料についても、厚生労働省が特設サイトで納付方法を案内しています。「労働保険料等の口座振替納付・電子納付」というページに並んでいるのは、口座振替納付と電子納付の2つで、クレジットカードは出てきません。

労働保険料の納付方法と、厚生労働省が挙げているメリット

口座振替納付

手数料はかからない。金融機関の窓口へ行く手間と待ち時間が消える。

法定納期限から引き落とし日までに最大約2か月のゆとりができる。

電子納付(Pay-easy)

年度更新を電子申請で行った場合に、申告から納付までインターネット上で完結する。

e-Govの「納付情報一覧」画面から進めると、収納機関番号や納付番号の入力を省略できる。

口座振替の申込締切

第1期は2月25日、第2期は8月14日、第3期は10月11日、第4期は1月7日。

締切日が土・日・祝日のときは、その後の最初の金融機関の営業日になる。

厚生労働省「労働保険料等の口座振替納付・電子納付」より。口座振替は手数料がかからず、引き落としまで最大約2か月のゆとりが生まれる点が公式に示されている。
厚生労働省の労働保険の電子申請に関する特設サイトの口座振替納付・電子納付のページの画面。労働保険料等の口座振替納付・電子納付という見出しの下に、口座振替納付のメリットとして手数料はかからないこと、法定納期限から引き落とし日までに最大約2カ月ゆとりができることが書かれ、納期ごとの申込み締切日の表が置かれている
厚生労働省「労働保険料等の口座振替納付・電子納付」。並んでいるのは口座振替と電子納付の2つだけ(2026年11月4日に表示)。

電子納付でも領収証書は出ません。厚生労働省は「労働保険料を電子納付した場合、厚生労働省から領収証書を発行することはありませんので、ご留意ください」と注意書きを置いています。もうひとつ、口座振替の申込手続が完了すると金融機関の窓口で年度更新申告書を提出できなくなる点と、口座名義が事業主名と異なる場合は「労働保険料等の口座振替納付に関する同意書」を管轄の労働局へ別途提出する必要がある点も明記されています。

カードで払えるのは国民年金保険料。申出書と同意書が要る

社会保険料のうち、クレジットカード納付の制度があるのは国民年金保険料です。日本年金機構は「ケース8:国民年金保険料をクレジットカードで支払うとき(やめるとき)、使用するクレジットカードや納付方法を変更するとき」(更新日2026年7月7日)という様式のページを用意しています。

国民年金保険料をクレジットカード納付にするときの提出物

  1. 「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」の1枚目と2枚目を提出する。PDF様式とExcel様式の両方が公開されている。
  2. 被保険者とカード名義人が異なる場合は、「国民年金保険料クレジットカード納付に関する同意書」も添える。
  3. マイナンバーを記入した届書を郵送するときは、その都度、本人確認書類の写しを添付する。
  4. やめるときは「国民年金保険料クレジットカード納付辞退申出書」の1枚目のみを提出する。
  5. 取り扱い変更により令和7年1月から様式が変わっている。令和7年1月以降に2年前納を希望する場合、旧様式の申出書は使えない。
申込は口座振替と同じ「申出書」方式で、カード会社の画面からは設定できない。法人の代表者が自分の国民年金を払う場面で使う制度であり、会社の厚生年金とは別の話になる。
日本年金機構のケース8、国民年金保険料をクレジットカードで支払うとき、使用するクレジットカードや納付方法を変更するときのページの画面。更新日2026年7月7日と表示され、クレジットカード納付(変更)申出書のPDF様式とExcel様式、被保険者とカード名義人が異なる場合の同意書、辞退申出書、約定へのリンクが並んでいる
日本年金機構「ケース8:国民年金保険料をクレジットカードで支払うとき」。クレジットカード納付の制度があるのは国民年金だけ(2026年11月4日に表示)。

会社を作って役員になると厚生年金の被保険者になるため、国民年金保険料のクレジットカード納付は使えなくなります。法人化前に設定していた人は、納付方法が自動で切り替わるわけではないので、辞退申出書の提出が要るかどうかを年金事務所に確かめてください。

逆に、個人事業主のままなら国民年金はカードで払えます。法人カードを個人の国民年金に使うのは筋が違うので、個人名義のカードで設定するのが前提です。法人カードを私的な支出に使ったときの扱いは法人カードを個人利用したらどうなる?にまとめてあります。

どうしてもカードで払いたい場合に残る道

保険料そのものをカードで納める方法はありませんが、請求書カード払いの代行サービスを挟む形なら、カードの枠と支払いサイトを使えます。ただし手数料の水準がまったく違います。

法人の支払いをカードに寄せたときの手数料水準(当サイト既出の公表値をもとに整理。2026年11月4日時点)
対象 カード払いの可否 手数料の水準
健康保険・厚生年金保険料 直接は不可 —(口座振替・窓口・Pay-easy)
労働保険料 直接は不可 —(口座振替・電子納付。口座振替は手数料なし)
国税(法人税・消費税など) 可 1万円ごとに99円(およそ0.99%)
地方税 可 初回40円+75円(税別)の積み上げ
請求書カード払いの代行サービス 可 3.0%〜4.0%

社会保険料を代行サービスに通すと、3.0%〜4.0%の手数料が乗ります。ポイント還元が1%前後の法人カードでは、確実に持ち出しになります。資金繰りのために支払いを後ろへ倒す目的ならともかく、ポイント目当てで寄せる意味はありません。それぞれの公表値は法人カードで税金を払うと手数料はいくら?と請求書カード払いの手数料は3.0%〜4.0%で確認できます。

現実的な選択は、厚生労働省が挙げている口座振替のメリットをそのまま取ることです。労働保険料の口座振替は手数料がかからず、法定納期限から引き落とし日までに最大約2か月のゆとりができます。カードの支払いサイトに近い効果が、手数料0円で得られる計算になります。

よくある質問

Q. 厚生年金保険料をクレジットカードで払う方法は本当にありませんか。
A. 日本年金機構が「厚生年金保険料等の納付」で挙げている方法は、口座振替・金融機関の窓口・電子納付(Pay-easy)の3つだけです。クレジットカードは記載されていません。

Q. Pay-easyならカードで払えますか。
A. 払えません。日本年金機構が挙げているPay-easyの納付チャネルは、インターネットバンキング・モバイルバンキング・ATM・テレフォンバンキングで、いずれも口座からの引き落としです。

Q. 口座振替にすると引き落とし日はいつですか。
A. 厚生年金保険料等については日本年金機構のページに引き落とし日の記載がありませんでした。労働保険料については、厚生労働省が「法定納期限から保険料の引き落とし日までに最大約2カ月ゆとりができます」と案内しています。

Q. 電子納付だと領収証書は出ますか。
A. 出ません。日本年金機構も厚生労働省も、電子納付では領収証書を発行しないと明記しています。領収証書が必要なら金融機関等の窓口で納付することになります。

Q. ネット銀行の口座でも口座振替にできますか。
A. 日本年金機構は「厚生年金保険料等・国民年金保険料の口座振替可能金融機関一覧表」で確認するよう案内しています。インターネット専業銀行を使う場合は、金融機関の確認を受ける手順を省略し、事務センターか年金事務所へ直接提出します。

Q. 口座名義が会社名と違っても口座振替にできますか。
A. 労働保険料については、口座名義が事業主名と異なる場合に「労働保険料等の口座振替納付に関する同意書」を管轄の労働局へ別途提出する必要があると厚生労働省が案内しています。

この記事で参照した一次情報

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