コーポレートカード導入の実務|年会費の課金単位・一括決済と個別決済・管理者Webでできること

コーポレートカードを検討する段階で決めなければならないのは、「どのカードにするか」より先にどの請求方式にするかと誰に何枚配るかです。この2つで年会費の計算式も、経理の作業も変わります。ここでは三井住友カードとJCBが公表している条件をそのまま並べ、導入の設計に必要な数字を整理します。呼び方の違いそのものについてはコーポレートカードとは?ビジネスカードとの違いにまとめています。

先に結論

  • 三井住友コーポレートカードは従業員20名以上が利用対象の目安として示されています。
  • 年会費は1会員目+2人目以降の積み上げで、クラシックは1会員目1,375円+以降440円、ゴールドは1会員目11,000円+以降2,200円。いずれも上限33,000円(税込)です。
  • 請求方式は一括決済(利用代金をまとめて会社へ請求)と個別決済(カード使用者の個人名義口座へ請求)に分かれます。
  • ゴールドの個別決済方式は1社あたり33,000円(税込)、61名以上の追加会員ごとに550円(税込)と公表されています。
  • JCBコーポレートカードは企業年会費33,000円・個人年会費無料で、社員用カードとETCカードを年会費無料で複数枚発行できるとしています。
  • 管理者Web「SMCC Biz Partner」は無料。使用者の追加や退会、限度額変更、請求書のダウンロードまでウェブで完結します。

まず「使用者数」で入口が決まる

三井住友カードのコーポレートカードのページは、冒頭に「従業員(20名以上)がご利用」と書かれています。同社のビジネスカードは中小規模企業者向けとされており、使用者20名前後がひとつの分かれ目になっているという構成です。

三井住友コーポレートカードの公式ページ画面。従業員20名以上がご利用という記載と、クラシックカードとゴールドカードの年会費が表示されている
出典:三井住友カード「三井住友コーポレートカード」。年会費の単価と上限がそのまま掲載されている。

ページには導入の狙いも書かれています。「コーポレートカード×経費精算システム」の利用データ自動連携により、経費精算業務の効率化ならびにガバナンス強化をサポートする、という説明で、効果として「経費精算業務の効率化」「従業員の立替負担を軽減」「利用データを経費精算システムに自動連携」の3点が挙げられています。枚数を配ること自体が目的ではなく、立て替えをなくして精算の件数を減らすことが目的だと読めます。

年会費は人数で積み上がり、途中で頭打ちになる

コーポレートカードの年会費は、個人向けカードのような1枚いくらではありません。1会員目の金額と、2人目以降の単価、そして上限の3つで決まります。

三井住友コーポレートカードのクラシックとゴールドについて、人数ごとの年会費合計を横棒で比べた図
ゴールドは11人目で上限33,000円に届く。人数が増えるほど1人あたりの負担は下がる。
項目 三井住友 クラシック(一般) 三井住友 ゴールド JCBコーポレートカード
1会員目 1,375円(税込) 11,000円(税込) 企業年会費 33,000円
2人目以降 1会員につき440円(税込) 1会員につき2,200円(税込) 個人年会費 無料
上限 33,000円(税込) 33,000円(税込) —
個別決済方式の場合 — 1社あたり33,000円(税込)/61名以上追加会員ごと550円(税込) —
ETCカード 別途条件を確認 年会費無料で複数枚発行可能

数え方が違うので単純比較はできませんが、方向性ははっきりしています。三井住友は人数に応じて増えて33,000円で頭打ち、JCBは最初から企業年会費33,000円で個人年会費が無料という組み立てです。少人数で始めるなら三井住友のクラシックが低く始まり、最初から多人数に配るならJCBの形が読みやすくなります。

一括決済と個別決済で、経理の作業が変わる

三井住友カードは請求方式を2つ公表しています。一括決済は「ご利用代金をまとめて、貴社にご請求」、個別決済は「ご利用代金をカード使用者の個人名義口座へご請求」です。この違いは経理の手順そのものを変えます。

一括決済と個別決済について、社員の支払いから会社の精算までの4段階を並べて比べた図
一括決済は立て替えが発生しない。個別決済は使用者本人が支払い、会社へ精算を申請する。
一括決済を選ぶとき

社員に立て替えさせたくない、精算の件数そのものを減らしたい会社に向きます。請求が1本にまとまるため、経理は明細を部門と費目へ振り分ける作業が中心になります。

個別決済を選ぶとき

部門ごとに費用の責任を持たせたい、私的利用の混入を本人の負担で切り分けたい会社に向きます。ただし立て替えと精算の手間は残ります。

年会費の形も変わる

三井住友のゴールドは、個別決済方式の場合に1社あたり33,000円(税込)、61名以上の追加会員ごとに550円(税込)と公表されています。人数の数え方が一括決済と違います。

あとから変えにくい

請求方式は口座振替の設定や社内規程に直結します。導入時に決めておくべき項目で、稼働後の変更は関係部署への影響が大きくなります。

「立て替えをなくす」ことが目的なら、選ぶのは一括決済です。個別決済は使用者の個人口座へ請求が届くため、支払い自体は本人が行います。経費精算の件数を減らしたくてコーポレートカードを導入したのに個別決済を選ぶと、狙った効果が出ません。何のために入れるのかを先に決めてください。

管理者Webでできること

使用者が増えると、カードの追加・退会・限度額変更といった手続きの量が増えます。三井住友カードは法人カード管理者Web「SMCC Biz Partner」を用意していて、「当サービスは無料でご利用いただけます」と案内しています。

区分 できること
申請 使用者の追加、部署(組織)の追加、ETCカードの追加、再製・再発行、各カードの限度額変更、社員番号・役職名変更、使用者の所属部課変更、カード退会、メールアドレス変更、ユーザー削除
照会 カード会員一覧のお取り寄せ、請求書のダウンロード(PDF・CSV形式)
対象カード 三井住友コーポレートカード、三井住友エクスプレスコーポレートカード、三井住友パーチェシングカード、三井住友カードパーチェスプラス
申し込み 登録されている「カード担当者」が申し込む

限度額変更がこのWebから申請できる点は、運用に効きます。使用者ごとの枠を実態に合わせて動かせるかどうかで、期中に決済が止まる頻度が変わるからです。枠の考え方は法人カードの利用限度額で整理しています。

JCBも管理者向けのツールを案内しており、公式ページでは「JCB法人カードステーション」というツールのリリースが告知されています。どのカード会社を選ぶ場合でも、カードそのものより管理画面でできることを先に確認するほうが、導入後の手間の差が読めます。

JCBコーポレートカードの組み立て

JCBは大規模企業向けの法人カードとして、企業年会費33,000円、個人年会費無料という形を公表しています。社員用のカードとETCカードを年会費無料で複数枚発行できるとされ、公式ページには導入の要点として「個人の立替不要」「システム連携で自動化」「ガバナンス強化」「ご利用実績の管理が容易」の4点が挙げられています。

JCBの大規模企業向け法人カードの案内画面。個人の立替不要・システム連携で自動化・ガバナンス強化・ご利用実績の管理が容易の4点が表示されている
出典:JCB「社員みんなが持てる|大規模企業向け法人カード」。

付帯サービスとして、空港ラウンジの利用、経費精算システムとの連携(楽楽精算、SAP Concurなど)、JCBタクシーチケット、ANA Biz予約サービス、EX press予約、バーチャルカードナンバーの即時発行が挙げられています。バーチャルカードナンバーは、ウェブ広告費やサブスクリプションの支払いを部門ごとに切り分けたいときに効きます。

導入前に決めておく5つ

1. 何のために入れるのか

立て替えをなくすのか、部門別の把握を強くするのか。ここで請求方式が決まります。

2. 誰に配るのか

役職者だけか、経費を使う全員か。人数で年会費の総額が変わり、三井住友のゴールドは11人目で上限に届きます。

3. 名義をどうするのか

個人名義のほか、部署名義や費目名義で発行できる場合があります。名義の扱いはカード名義とはで整理しています。

4. 限度額を誰が動かすのか

管理者Webから申請できるのか、そのつど本社へ依頼するのか。運用の速さがここで決まります。

5. 会計システムと何でつなぐのか

利用データの自動連携は各社が前面に出している要素です。既に使っている経費精算システムに対応しているかを先に確認してください。

あわせて決めたいこと

利用規程と、退職時のカード回収の手順。配る枚数が増えるほど、止める手順の整備が効いてきます。

よくある質問

従業員が20名未満でもコーポレートカードは申し込めますか

三井住友カードのコーポレートカードのページには「従業員(20名以上)がご利用」と書かれています。これは対象の目安として示されているもので、20名未満の場合はビジネスカードなど別のラインアップが案内されています。実際の可否は申し込み時の確認になります。

年会費は1人あたりいくらになりますか

人数によります。三井住友コーポレートカードのゴールドは1会員目11,000円、以降1会員につき2,200円で上限33,000円(いずれも税込)です。この単価で計算すると11人目で上限に届き、それ以上は何人増えても総額は変わりません。実際の請求額は契約内容によって異なります。

一括決済と個別決済はどちらが一般的ですか

どちらが多いかという統計は公表されていません。三井住友カードは請求先の違いとして2つの方式を並記しています。立て替えをなくすことが目的なら一括決済、部門ごとに費用の責任を持たせたいなら個別決済という選び方になります。

カードの追加や退会は毎回本社に依頼が必要ですか

三井住友カードの場合、管理者Web「SMCC Biz Partner」から使用者の追加、カード退会、限度額変更、所属部課の変更などを申請できます。サービス自体は無料で、登録されている「カード担当者」が申し込む形です。

ETCカードは何枚まで発行できますか

JCBは大規模企業向けの案内で、ETCカードを年会費無料で複数枚発行できるとしています。上限の枚数は公式ページに明記されていないため、必要枚数がはっきりしている場合は事前に確認してください。

コーポレートカードとビジネスカードは何が違うのですか

基本的な機能は同じで、会社の経費支払いをカード決済で行うためのカードです。分かれ目は会社の規模で、三井住友カードはコーポレートカードを従業員20名以上向け、ビジネスカードを中小規模企業者向けとしています。呼び方と区分の詳細はコーポレートカードとは?ビジネスカードとの違いは会社の規模で扱っています。

参照した公式情報

年会費と対象条件は改定されることがあります。申し込みの前に各社の該当ページで最新の記載を確認してください。図の中の合計額は公表された単価から計算したものです。

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