コーポレートカードとは、大規模企業の従業員向けに発行される法人カードのことです。中小規模企業向けの「ビジネスカード」と対になる呼び方で、カード会社が企業の規模で商品を分けるために使っています。
法律や制度で決まった区分ではありません。ここを押さえておかないと、各社のサイトを見比べたときに「同じ法人カードなのに呼び方が違う」と混乱します。3社の公式サイトで実際にどう分けられているかを見ていきます。
3社とも、分けている軸は「会社の規模」
三井住友カードは、法人カードのページでこう説明しています。
法人カードとは、企業や個人事業主に対して発行するクレジットカードで、一般的に中小規模企業の従業員向けのビジネスカード、大規模企業の従業員向けのコーポレートカードがあります。
出典:三井住友カード「法人カード(コーポレートカード・ビジネスカード)のメリットやお申し込みのご案内」(2026年9月4日確認)
JCBとアメリカン・エキスプレスも、サイトの入口から同じ分け方をしています。JCBは「中小企業・個人事業主」と「大規模企業」でメニューを分け、アメリカン・エキスプレスは「中小規模企業の経営者様/個人事業主」と「中堅/大規模企業様」で分けています。

| カード会社 | 中小規模・個人事業主向け | 大規模・中堅向け | 人数の基準 |
|---|---|---|---|
| 三井住友カード | ビジネスカード | コーポレートカード | 明示なし |
| JCB | 一般法人カード/ゴールド法人カード/プラチナ法人カード | JCBコーポレートカード | 従業員50名 |
| アメリカン・エキスプレス | ビジネス・カード | コーポレート・カード | 明示なし |
数字を出しているのはJCBだけです。JCBはコーポレートカードを「従業員50名以上の大規模企業向け」とし、50名未満には中小規模企業向けのカードを案内しています。他の2社は「中小規模」「大規模」という言葉にとどめており、何名からという線引きは公表していません。
つまり「うちは何名だからコーポレートカード」と一律に決まるわけではありません。JCBを検討するなら50名が目安になり、他社では相談して決めることになります。
JCBが挙げているコーポレートカードの中身

JCBがコーポレートカードの導入メリットとして挙げているのは次の4つです。いずれも「人数が増えたときに効いてくる」ものです。
| 公式が挙げている効果 | 導入前の状態 | 導入後の状態 |
|---|---|---|
| 社員の経費立替負荷を削減 | 立て替えの精算業務が社員・管理者にとって大きな負担 | 社員の経費立替が不要。支払先がJCBへ一本化される |
| 経費の見える化 | 経費の使用用途や利用状況が不透明 | 経費の一元管理で利用状況が見える化。経費精算システムとの自動連携も可能 |
| 請求書・明細書の仕分け | 大量の請求書・明細書が発生し管理が困難 | 部署ごとに発行が可能 |
| 社員の経費利用のコントロール | 必要以上の経費利用が心配 | 利用可能額を企業単位または使用者単位で設定できる |
付帯するものとして、国内・海外を問わず最高5,000万円の旅行傷害保険と、国内主要空港およびハワイ・ホノルルの国際空港内のラウンジ利用が案内されています。
注目したいのは3つ目と4つ目です。「部署ごとに請求書を発行できる」「使用者単位で利用可能額を設定できる」は、枚数が数十枚を超えてから初めて必要になる機能です。逆に言えば、数枚しか使わない会社にとっては差になりません。
本当の違いは「社員が立て替えるかどうか」
呼び名よりも実務に響くのが決済方式です。誰の口座から引き落とされるかで、経理の手順がまるごと変わります。

JCBがコーポレートカードの第一の利点として挙げているのが、まさにこの「社員の立て替え不要」です。カードで払った分がそのまま会社へ請求されるため、社員が自分の財布から出して後で精算する工程が消えます。
一方で、ビジネスカードには個人決済型を選べるものがあります。仕組みと使いどころは法人カードの個人決済型とは?メリット・デメリットと選び方で詳しく扱っています。
| 比べる点 | 法人一括決済 | 個人決済 |
|---|---|---|
| 引き落とし口座 | 会社 | 社員個人 |
| 社員の立替え | 不要 | 必要 |
| 精算の手間 | 会社側でまとめて処理 | 社員が申請し、会社が支払う |
| 審査で見られるもの | 会社の信用 | 社員個人の信用も関わる |
| 枚数が増えたとき | 手間はあまり増えない | 人数分だけ精算が増える |
「コーポレートカード=必ず法人一括決済」とは限りません。大規模企業向けカードでも個人決済型を用意している場合があります。呼び名で決めつけず、商品ごとに確認するのが確実です。
紛らわしい呼び名を整理する
法人向けのカードには似た名前が並びます。それぞれ違う軸で付けられた名前なので、同じ土俵で比べると混乱します。
| 呼び名 | 何を指しているか | 分けている軸 |
|---|---|---|
| 法人カード | 企業や個人事業主に発行されるクレジットカードの総称 | —(上位の言葉) |
| コーポレートカード | 大規模・中堅企業の従業員向けの法人カード | 会社の規模 |
| ビジネスカード | 中小規模企業・個人事業主向けの法人カード | 会社の規模 |
| パーチェシングカード | 購買専用。三井住友カードは「購買専用の不発行型」と説明している | 用途(購買に限定) |
| 法人決済型/個人決済型 | 引き落としが会社か社員か | 決済方式 |
| 法人デビットカード | 利用と同時に口座から引き落とされる。与信を伴わない | 支払いのタイミング |
とくにパーチェシングカードは「規模」ではなく「用途」で分かれた別カテゴリです。物品購入の支払いに限定して使うもので、カードを現物発行しない形もあります。比較はパーチェシングカード比較。おすすめのパーチェシングカードランキングにまとめています。
法人デビットカードは、そもそもクレジットカードではありません。使い分けは法人カードと法人デビットカードはセットで併用がおすすめをご覧ください。
自社はどちらを見ればいいのか
規模だけで機械的に決まるものではありませんが、判断の材料になるのは次の5点です。
| 確認すること | コーポレートカードを見る目安 | ビジネスカードで足りる目安 |
|---|---|---|
| カードを持たせる人数 | 数十枚以上になる | 代表者と数名 |
| 社員の立替えが起きているか | 立替精算が経理の負担になっている | 立替えがほとんど発生しない |
| 部署ごとの管理が要るか | 部署別に請求書を分けたい | 会社で1本にまとまっていればよい |
| 利用額の制御 | 使用者ごとに上限を設けたい | 1枚の限度額で足りる |
| 経費精算システムとの連携 | すでに導入済み、または導入予定 | 手作業で回っている |
迷ったときは「立替えが起きているか」を先に見てください。ここが痛くなければ、規模が大きくても急いで切り替える理由は薄くなります。逆に立替精算が滞っているなら、枚数が少なくても検討する価値があります。
申し込みの手順そのものは法人カードの作り方徹底解説にまとめています。コーポレートカードは申込方法が中小向けカードと異なり、資料請求や問い合わせから始まる形が一般的です。JCBも公式ページに「入会に関するお問い合わせ」と「資料ダウンロード」を置いています。
よくある質問
個人事業主でもコーポレートカードは作れますか
各社とも個人事業主は中小規模向けのカードに案内しています。三井住友カードは個人事業主・法人代表者向けとして「三井住友カード ビジネスオーナーズ」を、JCBはフリーランス・個人事業主用として「Biz ONE」を挙げています。
コーポレートカードのほうが年会費は高いのですか
一概には言えません。大規模向けカードは料金や条件を公式サイトに一律で掲載していないことが多く、問い合わせや資料請求で提示される形が中心です。中小向けカードのように年会費を見比べて選ぶ、という進め方にはなりません。
ビジネスカードから切り替えるべきタイミングは
公式に基準が示されているわけではありません。判断材料になるのは、立替精算の負担・部署別管理の必要性・利用額の制御の3点です。JCBの50名という区分は、ひとつの目安として参考になります。
コーポレートカードは個人の信用情報を見られますか
法人一括決済であれば審査で見られるのは会社の信用が中心です。ただし決済方式によって扱いが変わります。個人決済型を選ぶ場合は社員個人の信用も関わってきます。カードごとに条件が異なるため、申し込み前に発行会社へ確認してください。
この記事の要点
- コーポレートカードは大規模企業の従業員向けの法人カード。中小規模向けの「ビジネスカード」と対になる呼び方
- 法律や制度の区分ではなく、カード会社が商品を分けるために使っている名前
- 三井住友カード・JCB・アメリカン・エキスプレスの3社とも同じ軸で分けている。人数を公表しているのはJCBの「従業員50名」だけ
- 実務で効くのは呼び名より決済方式。法人一括決済なら社員の立替えが要らない
- パーチェシングカードは「規模」ではなく「用途」で分かれた別カテゴリ
- 切り替えの判断は、立替精算の負担・部署別管理・利用額の制御で考える
参考にした一次情報
- 三井住友カード「法人カード(コーポレートカード・ビジネスカード)のメリットやお申し込みのご案内」(法人カードの定義、ビジネスカードとコーポレートカードの区分、パーチェシングカードの位置づけ)
- JCB「法人カードサイト」(フリーランス・個人事業主用/中小企業向け/大規模企業向けの区分)
- JCB「JCBコーポレートカード」(従業員50名以上という対象、導入メリット4点、旅行傷害保険、ラウンジ、利用可能額の設定単位)
- アメリカン・エキスプレス「法人企業向けクレジットカードのご案内」(中小規模企業/中堅・大規模企業の区分と、ビジネス・カードとコーポレート・カードの呼び分け)
2026年9月4日に各社の公式サイトで確認しています。商品の内容や区分は変更されることがあります。申し込みの前に必ず発行会社の最新の案内をご確認ください。この記事は一般的な説明であり、審査の結果や特定のカードの発行を保証するものではありません。










