法人カードの海外事務手数料はいくら?主要5社の率と、法人だけ遅れて適用された改定日

法人カードの海外事務手数料と書かれたアイキャッチ画像。3枚のカードのイラストと3.85%の表示

海外のSaaS、広告出稿、展示会の出展料、越境仕入れ。法人カードで外貨決済をする機会は増えているのに、明細を見ると「思ったより高い」と感じることがあります。原因の多くは為替そのものではなく、カード会社が上乗せする海外事務手数料です。この手数料は2024年から2025年にかけて各社が相次いで引き上げており、しかも法人・コーポレート向けの適用日は個人カードより後ろにずれているという特徴があります。各社の公式告知で、率と適用日を整理します。

この記事の結論

  • 外貨決済の請求額は「国際ブランドの基準レート+カード会社の海外事務手数料」で決まります。率は発行会社とブランドの組み合わせで変わります。
  • 三井住友カードはVisa・Mastercardで2.20%→3.63%。個人カードは2024年11月1日からですが、三井住友コーポレートカード等は2025年4月1日からと適用日が分けられています。
  • アメリカン・エキスプレスは2.0%→3.5%。ビジネス・カードは2025年8月1日、コーポレート・カード・プログラムは2025年10月1日からです。
  • 三菱UFJニコスはVisa・Mastercardで2.00%(税込2.20%)→3.50%(税込3.85%)。American ExpressとJCBブランドは改定なしで従来どおり2.00%(税抜)と告知されています。
  • クレディセゾンは2024年12月4日以降の処理分から、ブランド横断で税込3.85%へ。JCBブランドのカードでJCB自身が定める事務処理コストは基準レート+1.60%です。
  • 海外キャッシングには海外事務処理手数料がかからないと三井住友カードは明記しています。逆に、店頭で「日本円で払う」を選ぶと、手数料の主導権が店側に移ります

そもそも海外事務手数料とは何に対する費用か

三井住友カードは「外貨によるカード決済が行われた際、海外取引に関する事務処理費用として弊社が設定する手数料」と定義しています。アメリカン・エキスプレスも「外貨によるカード決済が行われた際、海外取引に関する事務処理費用として弊社が設定する海外事務手数料」と、ほぼ同じ説明をしています。

注意したいのは、両社とも「日本語表記のインターネットサイトや通信販売などであっても、外貨でのお取引となる場合があります」と注記している点です。画面が日本語でも、決済通貨が米ドルなら海外事務手数料の対象になります。海外SaaSの日本語サイトから契約している会社は、明細の通貨表示を確認してください。

1000米ドルの外貨決済が円貨の請求額になるまでの計算過程と、手数料率ごとの請求額の差を並べた図
基準レートに事務手数料が上乗せされて請求額が決まる。率の差はそのまま経費の差になる。

換算に使うレートの日付も見落とされがちです。三井住友カードは「カードのご利用データが、Visa/Master/銀聯の決済センターに到着した日付」で換算し、目安は利用日から2〜4日後としています。JCBは「JCBが海外の加盟店などに、お客様のご利用代金の支払い処理を行った日」を換算日とし、通常は利用日から約3〜10日後と説明しています。利用した日のレートではないということです。

主要5社の海外事務手数料(公式告知ベース)

発行会社 対象ブランド 改定前 現在の率 適用の起点
三井住友カード Visa・Mastercard(クレジットカード) 2.20% 3.63% 2024年11月1日以降に同社へ到着した売上。三井住友コーポレートカード等は2025年4月1日以降
三井住友カード 銀聯 2.50% 同社サイトに掲載されている率
JCB JCB(事務処理コスト) 1.60% 換算日の基準レートに加算。非課税と案内されている
アメリカン・エキスプレス American Express 2.0% 3.5% 個人カード・ビジネス・カードは2025年8月1日。コーポレート・カード・プログラムは2025年10月1日
三菱UFJニコス Visa・Mastercard 2.00%
(税込2.20%)
3.50%
(税込3.85%)
MUFGカードは2024年8月13日ご請求分、NICOSカード・JAカードは2024年8月27日ご請求分
三菱UFJニコス American Express・JCB 2.00%(税抜) 2.00%(税抜) 改定なしと告知されている
クレディセゾン Visa・Mastercard 2.20% 3.85% 2024年12月4日以降の処理分(いずれも税込)
クレディセゾン JCB 2.15% 3.85% 同上
クレディセゾン American Express 2.00% 3.85% 同上
三井住友カードの外貨でのショッピングご利用に伴う海外事務処理手数料改定のご案内ページ画面
出典:三井住友カード。海外キャッシュサービスには海外事務処理手数料がかからないことも注記されている。

同じ会社のカードでも、ブランドが違えば率が違います。三菱UFJニコスの告知では、Visa・Mastercardだけが引き上げの対象で、American ExpressブランドとJCBブランドは従来どおり2.00%(税抜)とされています。外貨決済が多い会社なら、ブランドの選択が年間コストに直結します。カードの券面に印刷されたブランドを確認してから、自社が使っている決済の通貨と突き合わせてください。

法人カードは、個人カードより後から上がった

この改定でいちばん実務的に効くのが、適用日のずれです。

各カード会社の海外事務手数料改定日を時系列に並べ、法人・コーポレート向けの適用日を強調した図
個人カードの改定から数か月遅れて、法人・コーポレート向けに同じ率が適用された。

三井住友カードの告知には、改定日が2024年11月1日と記載されたうえで、注記として「三井住友コーポレートカード等は2025年4月1日(火)以降」と示されています。アメリカン・エキスプレスも、個人カードとビジネス・カードが2025年8月1日、コーポレート・カード・プログラム(コーポレート・カード、JR東海EX・コーポレート、パーチェシング・カード、ビジネス・トラベル・アカウント)が2025年10月1日と、日付を分けています。

アメリカン・エキスプレスの外貨取扱手数料改定に関するお知らせページ画面。改定前2.0パーセント、改定後3.5パーセントと表示されている
出典:アメリカン・エキスプレス。改定前2.0%、改定後3.5%が明記されている。

経理の実務としては、個人カードの改定ニュースを見た時点で、自社の法人カードの適用日を確認しておくのが正解です。予算を組んだあとに率が変わると、海外費用の見込みが月単位でずれます。カードの区分(ビジネス・カードなのかコーポレート・カードなのか)で日付が違うため、コーポレートカードとビジネスカードの違いを押さえたうえで告知を読む必要があります。

手数料を抑えるためにできること

決済通貨を現地通貨のままにする

店頭やオンラインで「日本円で決済しますか」と聞かれる仕組み(DCC)があります。三井住友カードは、この場合「お店が決定した為替レートで日本円に換算されることから、弊社で日本円に換算する場合に比べて割高になる可能性があります」と説明しています。

ブランドを使い分ける

三菱UFJニコスのようにブランドで率が分かれている会社があります。外貨決済の多い支払いだけ、率の低いブランドのカードに寄せるという運用が取れます。

年間の外貨決済額を把握する

率の差は1回の決済では小さく見えます。年間の外貨決済額に対して何%かで見ると、カードを分ける手間に見合うかどうかを判断できます。

キャッシングと混同しない

三井住友カードは、海外キャッシュサービスについては海外事務処理手数料がかからないと注記しています。ただし利息は別に発生します。ショッピングの手数料と同じ土俵で比べないでください。

もうひとつ、支払いのタイミングも効きます。締め日と支払日の関係で、為替の変動を受ける期間の長さが変わるためです。仕組みは法人カードの締め日と支払日で整理しています。

三菱UFJニコスの外貨でのショッピングご利用代金を円貨へ換算するための事務処理手数料改定のお知らせページ画面
出典:三菱UFJニコス。American ExpressとJCBブランドは改定の対象外と書かれている。

会計処理はどう扱うか

海外事務手数料は、明細上は利用金額に含めて円貨で請求されるのが一般的です。加盟店に支払った金額と、カード会社に払う金額が一致しません。実務上の論点を整理します。

論点 確認すること
請求額と領収書の差 加盟店の領収書は外貨建て、カード明細は円貨。どちらを証憑とするかを社内で決めておく
為替差の扱い 換算日が利用日ではないため、利用日レートで起票すると差額が出る。差額の科目と処理方法を決めておく
手数料の科目 支払手数料として分けるか、費用に含めるか。分けるなら明細の内訳が取得できるかを確認する
消費税の扱い 会社によって税込表示と税抜表示が混在している。三菱UFJニコスとクレディセゾンは税込、三井住友カードとアメリカン・エキスプレスは率のみの表示
証憑の保存 外貨明細と円貨明細の両方をそろえて保存できる運用にしておく

手数料の内訳が明細に分けて出ない場合、会計上は「利用額に含まれた形」で処理せざるをえません。分けたいのであれば、カード会社の明細仕様を先に確認しておく必要があります。インボイス制度と領収書処理の運用とあわせて、社内ルールに落としておくのが現実的です。

よくある質問

法人カードの海外事務手数料はいくらですか

発行会社とブランドで違います。公式告知に基づくと、三井住友カード(Visa・Mastercard)が3.63%、アメリカン・エキスプレスが3.5%、三菱UFJニコス(Visa・Mastercard)が税込3.85%、クレディセゾンが税込3.85%、JCBブランドの事務処理コストが1.60%です。

いつから上がったのですか

三菱UFJニコスが2024年8月、三井住友カードが2024年11月、クレディセゾンが2024年12月、アメリカン・エキスプレスが2025年8月です。法人・コーポレート向けは別日で、三井住友コーポレートカード等が2025年4月1日、アメリカン・エキスプレスのコーポレート・カード・プログラムが2025年10月1日とされています。

日本語のサイトで買っても対象になりますか

なります。三井住友カードとアメリカン・エキスプレスはいずれも、日本語表記のインターネットサイトや通信販売であっても外貨での取引となる場合があると注記しています。判定は画面の言語ではなく決済通貨です。

店頭で「日本円で払う」を選べば手数料はかかりませんか

カード会社の海外事務手数料はかからない形になりますが、代わりに店側が決めたレートで換算されます。三井住友カードは、この場合は同社で換算する場合に比べて割高になる可能性があると説明しています。

海外キャッシングにも海外事務手数料はかかりますか

三井住友カードの案内では、海外キャッシュサービスについては海外事務処理手数料がかからないと注記されています。ただしキャッシングの利息は別に発生します。

換算に使われるレートはいつのものですか

利用日ではありません。三井住友カードは売上データが決済センターに到着した日付(目安は利用日から2〜4日後)、JCBは加盟店への支払い処理を行った日(通常は利用日から約3〜10日後)としています。

ブランドを変えれば安くなりますか

会社によっては安くなります。三菱UFJニコスの告知では、引き上げの対象はVisa・Mastercardのみで、American ExpressとJCBブランドは従来どおり2.00%(税抜)とされています。ただし年会費や付帯サービスも変わるため、手数料だけで決めないでください。

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