法人の印鑑カードとは?クレジットカードとは別物。交付申請の方法と、印鑑証明書が1通500円・420円に分かれる理由

印鑑証明書の3つの取り方と手数料500円・450円・420円を並べたアイキャッチ

「法人の印鑑カード」を検索してたどり着いた方の多くは、クレジットカードを探していません。会社の印鑑証明書を取ろうとして、法務局の窓口で「印鑑カードをお持ちですか」と聞かれ、手元にないことに気づいた段階です。この記事では、法人の印鑑カードが何のためのカードで、どう交付を受け、印鑑証明書を1通いくらで取れるのかを、法務省と法務局の案内だけで確認します。金額と手続きは2026年9月30日時点の掲載内容です。

先に結論

  • 法人の印鑑カードは決済用のカードではありません。法務局で会社の印鑑証明書を受け取るための本人確認用のカードです。
  • 印鑑証明書を請求するには印鑑カードの提出が必須です。郵送で請求するときも同封します。
  • 印鑑証明書の手数料は令和7年4月1日から、書面請求500円・オンライン請求と郵送受取450円・オンライン請求と窓口受取420円です。
  • 印鑑カードを持っていないときは「印鑑カード交付申請書」を、会社が登記されている登記所へ提出します。標準処理期間は申請書の提出から即日です。
  • 代理人が印鑑証明書を受け取るとき、委任状は要りません。印鑑カードを持っている人が受け取れてしまう仕組みです。
  • 令和3年2月15日から、オンラインで登記申請をする場合は印鑑の提出そのものが任意になりました。

「法人カード」と呼ばれる3つは、まったく別のもの

検索語としての「法人カード」には、性質のまったく違う3種類が混ざっています。最初にここを切り分けておくと、以降の手続きが整理しやすくなります。

表1|混同されやすい3つの「法人のカード」
名称 発行するのは 何に使うか 費用
法人カード(法人クレジットカード) カード会社 会社の経費の決済 年会費(無料〜数万円)
印鑑カード 法務局(登記所) 会社の印鑑証明書の交付請求 法務省の登記手数料一覧に掲載なし
法人デビットカード 銀行 法人口座からの即時決済 年会費無料が中心

印鑑カードは、法務局が会社ごとに交付するプラスチックのカードです。決済機能はなく、「登記所に届け出た会社の実印の持ち主だと示す引換券」に近い役割を果たします。会社の実印そのものを持ち歩かずに印鑑証明書を受け取れるようにするための仕組みです。

法人クレジットカードの申込みでは、会社の実在と代表者を確認するために印鑑証明書や登記事項証明書の提出を求められることがあります。どの書類が要るかは発行会社によって分かれるので、法人カードの必要書類を先に確認してください。

印鑑カードは、印鑑証明書を受け取るためだけに使う

法務局の案内は、会社・法人の印鑑証明書について「法務局に印鑑を提出している方及びその代理人に限られます。請求する際は、印鑑カードが必要です。代理によるときも委任状は必要ありません」と書いています。

手続の根拠は商業登記法第10条・第11条・第12条ほか、商業登記規則第18条ほかです。法務局の様式ページには「印鑑証明書の交付の申請には印鑑カードをも提出してください」「印鑑証明書の送付を請求する場合であっても、印鑑カードの提出が必要です」と明記されています。

法務局の交付請求書の様式ページの画面キャプチャ。手続根拠や提出方法の表が写っている
法務局「登記事項証明書(商業・法人登記)・印鑑証明書等の交付請求書の様式」。手続根拠、提出方法、添付書類が表で示されている(2026年9月30日確認)

代理人が受け取るときも委任状が要らないという点は、管理上の注意点でもあります。印鑑カードを持っている人なら、社内の誰であっても会社の印鑑証明書を取得できてしまいます。

実印そのものと同じ重さで保管する対象だと考えたほうが安全です。持ち出しの記録を残す、金庫で管理するといった運用を決めておく価値があります。

印鑑証明書の手数料は3通り。取り方で1通80円変わる

法務省の「登記手数料について」には、令和7年4月1日からの手数料が区分ごとに掲げられています。印鑑証明書は請求と受取の組み合わせで3段階です。

表2|印鑑証明書と登記事項証明書の手数料(令和7年4月1日〜・法務省の公表値)
区分 書面請求 オンライン請求・送付 オンライン請求・窓口交付
印鑑証明書 500円 450円 420円
登記事項証明書(謄抄本) 600円 520円 490円
登記事項要約書の交付・登記簿等の閲覧 500円 — —
地図等情報 500円 470円 440円
法務省の登記手数料についてのページの画面キャプチャ。区分ごとの手数料額の表が写っている
法務省「登記手数料について」。令和7年4月1日からの主な登記手数料が区分ごとに掲載されている(2026年9月30日確認)

印鑑証明書1通で見れば差は80円ですが、金額そのものより手間の差が効きます。窓口・郵送の500円は収入印紙で納めるため、印紙を買う手間が加わります。法務局の案内は「この手数料は、収入印紙で納めていただきますので、法務局の『印紙売り場』でお求めください。また、お近くの郵便局でもお求めになれます(ただし、取り扱っていないところもあります)」としています。

オンライン請求の場合、手数料の納付はインターネットバンキングや電子納付対応のATMでできます。ただしあらかじめ法人の電子認証を取得しておく必要があると法務局は注記しています。単発で1通取るだけなら、電子認証の取得コストのほうが80円の差を上回ります。

図1|どの取り方を選ぶか

年に数回しか取らない

窓口で500円。収入印紙で納付。

証明書発行請求機のある庁なら、印鑑カードを挿して生年月日を入れるだけで申請書ができる。

毎月のように取る

オンライン請求で450円/420円。

ただし法人の電子認証の取得が前提。登記・供託オンライン申請システムから手続きする。

遠方の法務局の分が要る

商業・法人登記情報交換システムにより、登記所であればどこでも他管轄の会社の印鑑証明書を取得できる。

ただし登記簿謄本と印鑑に関する届出は、登記されている登記所でしか扱えない。

法務局の会社・法人の印鑑証明書のページの画面キャプチャ。請求方法と手数料の説明が写っている
法務局「会社・法人の印鑑証明書」。窓口・郵送・オンラインの3つの請求方法と、それぞれの手数料が説明されている(2026年9月30日確認)

印鑑カードを持っていないとき。交付申請は即日

印鑑カードがない場合は、「印鑑カード交付申請書」を提出します。法務局の様式ページには、印鑑に関する届出として次の4種類の様式が並んでいます。

表3|法務局が様式を提供している印鑑関係の書類
様式 使う場面 添付が要るもの
印鑑カード交付申請書 印鑑カードの交付を受けるとき 代理人が申請するなら委任状
印鑑(改印)届書 会社の実印を届け出る・変えるとき 市区町村長作成の印鑑証明書、代理なら委任状
印鑑・印鑑カード廃止届書 カードをなくしたとき、届出印をやめるとき 代理人が届け出るなら委任状
印鑑カード受領書 磁気不良により再交付を求めるときに限る —

図2|印鑑カードの交付を受けるまで

  1. ①様式を用意する/法務局のページから「印鑑カード交付申請書」をPDFまたはExcelでダウンロードし、B5またはA4判縦の紙に印刷する。窓口にも備え付けられている。
  2. ②登記所へ提出する/印鑑に関する届出は、会社・法人が登記されている登記所に出す。印鑑証明書の交付請求と違い、どこの法務局でもよいわけではない。
  3. ③受け取る/標準処理期間は申請書の提出から即日と法務局が示している。
  4. ④代理人が行くなら委任状/印鑑カード交付申請を代理人がする場合は委任状が必要。様式には委任状欄がある。

受付時間は、国民の祝日に関する法律に規定する休日と年末年始の休日を除く月曜日から金曜日までの午前8時30分から午後5時15分です。会社設立直後にまとめて手続きするなら、法人口座の開設に必要な書類と一緒にそろえると往復が減ります。銀行側の要求は法人口座の開設に必要な書類で整理しています。

なくしたとき、磁気不良になったとき

印鑑カードをなくしたときは、「印鑑カード廃止申請書」と「印鑑カード交付申請書」を両方提出します。法務局の案内は、印鑑カードがない場合を2つに分けて説明しています。交付を受けていないときは交付申請書だけ、なくしたときは廃止と交付の両方、という整理です。

いっぽう、カードが物理的に読み取れなくなっただけのケースは別扱いです。法務局は「印鑑カード受領書(磁気不良により再交付を求める場合に限る。)」という様式を用意しています。紛失と磁気不良で手続きが分かれている点に注意してください。

令和3年2月15日から、印鑑の提出そのものが任意になった

会社設立の実務では、この改正を知っているかどうかで手順が変わります。法務省は次のように説明しています。「令和3年2月15日から、登記の申請をオンラインで行う場合は、印鑑の提出が任意になりますが、代表者の印鑑証明書が必要などの理由で印鑑を提出される場合には、オンラインによる登記の申請と同時に行う場合に限り、オンラインにより行うことができるようになりました」。

ただし条件が3つ付いています。

表4|オンラインで印鑑を提出するときの条件(法務省の案内より)
条件 内容
申請方法 オンラインによる登記申請と同時に行う場合に限る。印鑑の提出・廃止の届出だけを単独でオンラインでは行えない
書面申請のとき QRコード(二次元バーコード)付き書面申請を含め、従来どおり書面(紙)による印鑑の提出が必要
代理人が委任状を紙で持参・送付するとき この場合も従来どおり書面での印鑑の提出が必要

印鑑を提出しなければ印鑑カードも交付されず、会社の印鑑証明書も出ません。「印鑑証明書が要る場面があるかどうか」で、印鑑を出すかを決めることになります。法人カードの審査や法人口座の開設で印鑑証明書を求められる可能性を考えると、多くの会社では従来どおり提出しておくほうが実務は回りやすくなります。

法人クレジットカードの申込みで印鑑証明書が要る場面

法人クレジットカードの申込みで求められる書類は、発行会社と申込者の属性によって変わります。登記事項証明書を求める系統と、代表者の本人確認書類だけで済む系統があり、印鑑証明書まで求めるかどうかも一律ではありません。

加えて、法人カードの申込みでは実質的支配者の申告を求められます。犯罪による収益の移転防止に関する法律の施行規則が定める4段階の判定で、議決権の25%超・50%超が線引きになります。誰を書くかは会社の株主構成で決まるため、登記事項証明書や定款を先に手元に置くと迷いません。詳しくは法人カードの申込みで聞かれる「実質的支配者」とはで条文の順に整理しています。

証明書は取得日からの経過日数に制限が付くのが通例です。申込みの直前にまとめて取るほうが、有効期間の制約に引っかかりにくくなります。印鑑証明書と登記事項証明書を同時に請求するなら、法務局が用意している「印鑑証明書及び登記事項証明書交付申請書」を使うと1枚で済みます。

法人の印鑑カードについてよくある質問

印鑑カードの交付に手数料はかかりますか。
法務省が公表している「登記手数料について」の一覧には、印鑑カードの交付手数料は掲げられていません。掲載されているのは登記事項証明書・印鑑証明書・地図等情報などの交付手数料です。実際の取り扱いは提出先の登記所に確認してください。
印鑑証明書は会社の本店がある法務局でしか取れませんか。
取れます。法務局は「商業・法人登記情報交換システムにより、登記所であればどこでも他の登記所管轄の会社・法人の登記事項証明書及び印鑑証明書を取得できます」と案内しています。ただし登記簿謄本は会社・法人が登記されている登記所でしか取得できず、印鑑に関する届出も登記されている登記所へ提出する必要があります。
社員に印鑑証明書を取りに行かせても大丈夫ですか。
手続上は可能です。法務局は「代理によるときも委任状は必要ありません」としています。ただし裏を返せば、印鑑カードを渡した相手は誰でも会社の印鑑証明書を取得できるということです。カードの管理は実印に準じて行うのが安全です。
会社の実印を変えるときはどうしますか。
「印鑑(改印)届書」を提出します。この届出には市区町村長作成の印鑑証明書が必要だと法務局が明記しています。代表者個人の印鑑証明書を先に市区町村で取得しておく必要があります。
オンラインで印鑑証明書を請求するには何が要りますか。
法務局は「インターネットにより印鑑証明書の交付を受ける場合は、あらかじめ法人の電子認証を取得しておく必要があります」と案内しています。手続きは登記・供託オンライン申請システムから行い、手数料はインターネットバンキングや電子納付対応のATMで納めます。
印鑑カードがあれば法人クレジットカードは作れますか。
作れません。印鑑カードは法務局が交付する証明書請求用のカードで、与信や決済とは無関係です。法人クレジットカードはカード会社が審査のうえ発行します。印鑑カードは、その申込みで印鑑証明書の提出を求められたときに使う道具です。

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