法人カード支払では領収書をもらう必要がない!?税務署の税務調査で指摘されない法人カードの書類とは?法人カードの利用明細書でも経費として問題ない理由

man
「法人カードの経費支払では、領収書をもらう必要はないの?」
「税務署に指摘されないためにはどうすれば良いの?」
・・・

「法人カードの支払い」では、領収書や利用明細書、利用伝票のどれをどう利用すれば、税務署から指摘されず、適切に経費として扱われるのか?今回は、法人カードと領収書の関係を解説します。

先に、この記事でいちばん大事な区別を書きます。
この記事は長らく「領収書・利用明細書・クレジット売上票のどれでも実務上は問題ない」と書いていました。それは法人税や所得税の計算で、その支出が事業に必要だったことを示す証憑としての話です。消費税の仕入税額控除は別の話で、2023年10月に始まったインボイス制度のもとでは、カード会社が交付する利用明細書を保存しても控除は受けられません。控除を受けるには、支払先(加盟店)から受け取った適格請求書等が要ります。2つを混同しないでください。以下、2026年9月19日に国税庁のページを開いて確認した内容に沿って書き直しています。

法人カードの「領収書」は「正式な支払いのエビデンス」とはならない!?

「経費支払の正式なエビデンス(証拠)になるかどうか?」を判断するためには「国税庁」のウェブサイトの情報から判断するしかありません。

「国税庁」の照会情報

クレジット販売の場合の領収書

【照会要旨】

当社では、クレジットカードで買物をしたお客様に、クレジット利用伝票(お客様控)のほか、お客様の要望により、領収書を作成交付しています。この領収書には、印紙を貼付する必要があるのでしょうか。

【回答要旨】

第17号の1文書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)は、金銭又は有価証券の受領事実を証明する目的で作成されるものです。ご質問のように、クレジット販売の場合には、信用取引により商品を引き渡すものであり、その際の領収書であっても金銭又は有価証券の受領事実がありませんから、表題が「領収書」となっていても、第17号の1文書には該当しません。

したがって、この領収書には印紙を貼付する必要はありません。
なお、クレジットカード利用の場合であっても、その旨を「領収書」に記載しないと、第17号の1文書に該当することになります。

噛み砕いて説明すると・・・

領収書 = 金銭又は有価証券の受取書、領収書

です。

現金や有価証券の受取があった場合は、受領した事実を証明する目的で「領収書」が発行されます。正式な「領収書」には印紙税が課税されます。印紙税が課税されるということは「印紙」を貼らなければならないのです。

しかし、この国税庁への質問にある通りで

法人カードで支払いをした場合の領収書は「クレジット販売の場合には、信用取引により商品を引き渡すものであっても金銭又は有価証券の受領事実がありません」から不要ということになっています。

法人カードでの支払時は

  • 金銭の受取:ない
  • 有価証券の受取:ない

のだから、「印紙」を貼る必要はない

という回答です。

  • 現金支払いであれば、領収書は「正式な領収書」として印紙を貼り、公的に認められたエビデンスとなります。
  • クレジットカード払いであれば、印紙を貼る必要もなく、正式な領収書として認められないのです。(ただし、「クレジットカード払い」と書かれていない手書きの領収書は正式な領収書として認められます。)

クレジットカード払いの場合は、お店側も、領収書の作成を拒否することもできると解釈できるのです。

法人カードの「クレジット売上票」は「正式なエビデンス」とはなる!?

法人カードで支払いをすれば、絶対に渡されるものに「クレジット売上票」があります。

こういうものです。

「国税庁」の照会情報

クレジットカード会社からの請求明細書

【照会要旨】

法人カードを利用している場合には、カード会社から一定期間ごとに請求明細書が交付されますが、この請求明細書は消費税法第30条第9項《仕入税額控除に係る請求書等》に規定する請求書等に該当するのでしょうか。また、この請求明細書を保存することで仕入税額控除を適用することができますか。

【回答要旨】

クレジットカード会社がそのカードの利用者に交付する請求明細書等は、そのカード利用者である事業者に対して課税資産の譲渡等を行った他の事業者(カード加盟店)が作成・交付する書類ではなく、当該他の事業者(カード加盟店)の氏名又は名称及び登録番号が記載された書類にも該当しないため、消費税法第30条第9項に規定する請求書等には該当しません。

したがって、クレジットカード会社の作成した請求明細書を保存することにより仕入税額控除の適用を受けることはできません。この場合、課税資産の譲渡等を行った他の事業者(カード加盟店)から受領した適格請求書等を保存することで、仕入税額控除の適用が認められます。

これが現在の回答です(令和7年8月1日現在の法令・通達等に基づいて作成、と注記されています)。インボイス制度が始まる前の回答には「『ご利用明細』等に5項目が記載されていれば請求書等に該当する」という一文がありましたが、現在の回答にその一文はありません。加盟店の登録番号が記載されているかどうかが判断の分かれ目に加わったためです。

噛み砕いて説明すると・・・

クレジットカード会社が利用者に交付する「請求明細書」

商品を提供した事業者が作成・交付したものではないから、正式な支払いのエビデンスとしては認められない。(作ったのは第三者のカード会社であるということです。)

加盟店が利用者に交付する「クレジット売上票」やレシート

交付するのは決済した加盟店なので、記載事項がそろっていれば適格請求書として使えます。そろえるべき項目は、消費税法第57条の4第1項が6つ定めています。要点は、登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額等の3つが入っているかどうかです。制度開始前の書類にはこの3つがありません。項目の全文と、適格簡易請求書で省略できる範囲は、法人カードの利用明細書はインボイスになる?にまとめています。

ということを意味しています。

上の画像は2018年に受け取った売上票で、インボイス制度が始まる前のものです。いまの基準で見ると、登録番号がない、税率ごとに区分した消費税額等がない、商品名がないという3点で記載事項を満たしていません。金額と署名欄しかない一般的な売上票は、そのままでは適格請求書になりません。

売上票を証憑にするつもりなら、実物を1枚手に取って、登録番号(Tで始まる13桁)と税率ごとの区分が印字されているかを確かめてください。印字がなければ、レシートか領収書を別に受け取ります。

ここまでのまとめ

消費税の仕入税額控除という観点では、次のとおりです。

  • カード会社の利用明細書・請求明細書 → 使えない(国税庁の質疑応答事例が明言)
  • 加盟店のレシート・領収書・売上票 → 6項目(簡易なら省略あり)がそろっていれば使える

書類の名前では決まりません。決めるのは「誰が交付したか」と「記載事項がそろっているか」の2点だけです。「領収書」という表題が付いていても、登録番号や税率ごとの区分がなければ要件を満たしません。逆に、レシートでもそろっていれば使えます。

実務としては、登録番号が印字されたレシートをその場で受け取って保存するのがいちばん手間が少なくて確実です。

man
「えっ、でも、今までも法人カード払いでも領収書もらって平気だったけど、領収書ではダメだったってこと?」

税務署の指摘を考えれば、法人カードの支払いのエビデンスが正式である必要はない!?

今までは、あくまでも「国税庁の回答」をベースに「正式な経費支払のエビデンス」になるものを解説してきました。

ここからは「税務署の指摘」を前提に、法人カードの支払いで必要な書類を解説していきます。

税務署の税務調査の目的

税金を正しく徴収すること

です。

しかし、実態はそうでもありません。

ここから先は、公表された基準ではありません

以下は、税務調査で何がどう見られるかについて、公表された基準があるわけではない部分です。国税庁は調査の着眼点や職員の判断基準を公表していません。かつてこの記事には、税務署員の動機を推測した箇条書きと、職員の発言を模した会話が載っていましたが、いずれも裏づけのない創作だったため削除しました。

法人税・所得税の計算では、その支出が事業に必要だったことを示せるかどうかが問われます。書類に

  1. いつ?(日付)
  2. 誰に?(代金を受け取った者の情報 名前、住所など)
  3. 何に?(品目やサービスの内容)
  4. いくら支払ったか?(金額)

が残っていれば、説明の材料になります。ただし、これは「指摘されない」という保証ではありませんし、消費税の仕入税額控除の要件を満たすこととも別です。

実務的には

  • 宛名の書いていない「レシート」
  • 宛名が「上様」と書かれた領収書

でも、通用するのですから、3番の「誰が?(宛名代金を支払ったものの名前)」は不要で

  1. いつ?(日付)
  2. 誰に?(代金を受け取った者の情報 名前、住所など)
  3. いくら支払ったか?(金額)

さえわかれば、よほど変な税務署の職員でない限り、指摘されることはほとんどないのです。

「領収書」にも
「利用明細書」にも
「クレジット売上票」にも

  1. いつ?(日付)
  2. 誰に?(代金を受け取った者の情報 名前、住所など)
  3. いくら支払ったか?(金額)

は記載されています。

つまり、

法人税・所得税の証憑としては、支出の中身が説明できれば、書類の種類は問わない

ただし消費税の仕入税額控除は別で、加盟店が交付した適格請求書等が必要

ということです。

teacher
課税事業者なら、結局は登録番号の入ったレシートか領収書を受け取るのが早道です。1枚で法人税側の証憑にも消費税側の証憑にもなるからです。

そのほかの法人カードの支払いのシチュエーション

ネットショッピング

法人カードでも、ネットショッピングなどで支払うケースがあります。

この場合は「クレジット売上票」は渡されません。

その代わり、大抵は支払いメールが届くはずです。

Paypal経由でクレジットカード支払いをして、海外のサービスを利用した場合

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というメールが届きます。

これも

  1. いつ?(日付)
  2. 誰に?(代金を受け取った者の情報 名前、住所など)
  3. いくら支払ったか?(金額)

がわかる経費支払の十分なエビデンスとなるのです。

オンラインサービスやアプリケーションのダウンロードなどは、請求完了画面やメールを印刷して保管しておくことが望ましいのです。

ApplePay

ApplePayの場合は、普通にレシートを受け取ることが多いと思いますが・・・

コンビニの店員の中には「ApplePayを使うなら、レシートは受け取らないお客さんだ。」と思って、レシートを渡さずに自ら捨ててくれる方もいます。

「法人カードだから、レシートが経費支払いのために必要だろう。」

なんて考えてくれないのです。レシートを要求すれば良いのですが、忘れてしまう可能性もあります。

また、ApplePayの画面でも、利用明細が見れるカードと、見れないカードがあります。

この場合は、クレジットカード会社の「利用明細書」に頼らざるを得ないのです。

法人カード領収書支払いに関するよくある質問

法人カード支払い時の領収書を紛失したらどうすれば良いのか?

基本的に領収書は、簡単に再発行してもらえるものではありません。

領収書を何枚も再発行していたら、1回の経費利用で、何倍もの金額の経費を計上する悪用方法が容易になってしまうからです。

では、どうすれば良いかというと・・・

法人税・所得税の証憑という意味では、「領収書」という表題の書類が必須なわけではありません。レシートや売上票でも、支出の中身が説明できれば足ります。

ただし消費税の仕入税額控除を受けるつもりなら、カード会社の利用明細書では代わりになりません。加盟店に、登録番号の入った適格請求書等の再交付を依頼してください。

  1. いつ?(日付)
  2. 誰に?(代金を受け取った者の情報 名前、住所など)
  3. いくら支払ったか?(金額)

がわかる経費支払の十分なエビデンスを用意しましょう。

「利用明細書」であれば、クレジットカード会社に再発行を依頼すれば、過去のものでも発行してくれる可能性が高いです。その対応で十分なのです。

税理士・会計士には「法人カードの支払でも領収書が必須」と言われているんだけど・・・

この場合は、顧問税理士、顧問会計士の指示に従うことが賢明です。

基本的には

税理士・会計士は、エラーをしたら責任問題になるので、より「確実性の高い」対応を好みます。

失敗しないためには

fp
「領収書」と「クレジット売上票」を念のため、両方もらっておいてください。

というに決まっています。

これに納得がいかない場合は

man
「利用明細書」でも大丈夫と知り合いの経営者に聞いたのですが、そうではないのでしょうか?

と聞いてみると良いでしょう。

teacher
ダメならダメなりに、その税理士・会計士の見解があるはずですから、その理由に納得がいかないのであれば、税理士・会計士を変えれば良いだけです。

まとめ

国税庁のウェブサイトの回答例を参照すると

  • 法人カードの支払いでは「領収書」は「正式な支払いのエビデンス」とはなりません。
  • 法人カードの支払いでは「利用明細書」は「正式な支払いのエビデンス」とはなりません。

保存すべき書類は、目的で分けて考えます。

  • 消費税の仕入税額控除を受けるなら → 加盟店が交付した適格請求書等(登録番号・取引年月日・取引内容・税率ごとの合計額と適用税率・税率ごとの消費税額等・交付先)。レシートでも売上票でも、この記載がそろっていれば使えます
  • 法人税・所得税の証憑としては → 支出の中身が説明できる書類。利用明細書も補助資料として役立ちます

課税事業者であれば、登録番号の入ったレシートをその場で受け取るのが、1枚で両方を満たせるいちばん簡単な方法です。カード会社の利用明細書は、二重計上の確認や支払いの記録としてあわせて残しておいてください。

teacher
自社が免税事業者なのか課税事業者なのか、少額特例(基準期間の課税売上高1億円以下または特定期間5,000万円以下の事業者が、令和11年9月30日までの税込1万円未満の課税仕入れについて帳簿の保存のみで控除できる措置)の対象なのかで、集めるべき書類の量が変わります。まずそこを確かめてから運用を決めてください。

この記事で参照した公式ページ

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