法人カードの審査は甘い?公表されている申込対象・必要書類と、公表されていないことの線引き

「審査が甘い法人カード」を探している人が本当に知りたいのは、通るか通らないかです。ところが各社の公式サイトを一枚ずつ開いても、審査基準が書かれているページは見つかりません。載っているのは「所定の審査がございます」という一文だけ。それでも、公式に確認できる情報だけを並べ替えると、申し込みの間口が広いカードと狭いカードははっきり分かれます。ここでは、公表されている条件と公表されていないことを分けて整理します。

先に整理しておくこと

  • カード会社は審査基準を公表していません。三井住友カードの商品ページにあるのは「所定の審査がございます」という記載までです。
  • 公式に確認できるのは申し込み対象・必要書類・利用枠の上限・年会費の4つ。比較できるのはここまでです。
  • 間口の広さは商品によって明確に違います。三井住友カード ビジネスオーナーズは満18歳以上(高校生を除く)の法人代表者・個人事業主が対象で、副業やフリーランスも含まれます。
  • 同じ会社の三井住友ビジネスカードは法人のみを対象とし、カード使用者は20名以下が目安です。個人事業主は申し込めません。
  • 提出書類の差も大きく、ビジネスオーナーズは登記簿謄本・決算書が不要。JCBのBiz ONEは支払い口座の種類で手続きが分かれ、個人名義口座なら最短5分でカード番号が発行される経路があります。

「審査が甘い」と言い切れない理由

クレジットカードの審査は、申込者の属性と信用情報をもとに各社が独自の基準で行います。その基準は営業上の機密であり、公開されていません。商品ページを最後まで読んでも、記載は「所定の審査がございます」で止まります。

つまり、外から検証できるのは審査の結果ではなく、審査の入口だけです。申し込める人の範囲、出す書類の量、設定されうる枠の上限。この3つは公式に書かれているので、比べることができます。逆に「通過率」「否決理由」「何期分の黒字が必要か」といった情報は、どの会社も出していません。

ネット上で見かける「審査が甘いランキング」の多くは、通過率の数字を示していません。示せないのは、そもそも公表されていないからです。ここでは推測を順位にせず、公式に確認できる条件だけを並べます。

公式に確認できる4つの軸

比較の軸を先に決めます。どれもカード会社の商品ページに書かれている項目です。

申し込み対象

年齢の下限、法人代表者か個人事業主か、副業やフリーランスを含むか。ここがもっとも差が出ます。

必要書類

登記簿謄本や決算書が要るか。不要とされている商品は、審査の入口が広く設計されています。

利用枠の上限

「〜500万円」のような上限。個人カードと合算されるかどうかも書かれています。

年会費と使用者数

使用者1名あたりで課金されるか、永年無料か。想定している会社の規模が読み取れます。

同じ会社でも、間口はまったく違う

いちばん分かりやすい例が三井住友カードです。同社は法人向けに複数の系統を出していますが、申し込み対象の書き方が異なります。

三井住友カード ビジネスオーナーズの商品ページの画面。年会費永年無料、登記簿謄本・決算書不要、最短3営業日発行と表示されている
出典:三井住友カード「三井住友カード ビジネスオーナーズ(一般)」
項目 ビジネスオーナーズ(一般) 三井住友ビジネスカード(一般)
申し込み対象 満18歳以上(高校生は除く)の法人代表者、個人事業主(副業、フリーランスを含む) 法人のみを対象(カード使用者は20名以下が目安)
登記簿謄本・決算書 不要 商品ページに不要の記載なし
年会費 本会員・パートナー会員とも永年無料 使用者1名 1,375円(税込)、2名から1名につき440円(税込)
カード利用枠 ~500万円。本会員が持つ個人カードと合算 ~500万円(1回払いでの利用)
追加カード パートナーカードを18枚まで 使用者ごとに発行
決済口座 申し込み本人の法人名義口座・個人名義口座(屋号付き含む)。個人事業主は法人名義口座を指定できない 法人の口座

個人事業主や副業をしている人にとって、この差は決定的です。ビジネスオーナーズは名指しで対象に含めていますが、ビジネスカードは「法人のみを対象」と書いているため、そもそも申し込みの土俵に乗りません。審査の甘さ以前に、対象かどうかで結果が決まるということです。

年会費の設計にも、想定している会社の規模が表れています。使用者1名ごとに課金する形は、社員に配る前提の商品です。永年無料で本人だけが使う形は、ひとり法人や個人事業主を想定しています。年会費無料の法人カードの選び方とあわせて見ると、系統の違いがつかみやすくなります。

決算書の提出を求めない商品の例

国際ブランドVisa,Mastercard®,JCB
初年度年会費(税込)0円
2年目~年会費(税込)0円
年会費優遇条件-
ポイント還元率/基本0.00%
ポイント還元率/上限0.50%
ポイント倍増方法-
-
-

提出書類が少ないほど、入口は広い

申し込みのときに何を出すかは、公式に書かれています。ここが少ない商品は、そのぶん審査の入口が広く設計されていると読めます。決算書を求められない商品は、事業の実績がまだ薄い段階でも申し込めるからです。

JCBのBiz ONEは、支払い口座の種類によって手続きが分かれます。公式の案内によると、個人名義口座(申し込み本人と同一名義の個人口座)を設定する場合は3つの方法から選べ、そのうちモバイル即時入会サービスは最短5分でカード番号が発行されます。受付時間は9時から20時まで。一方、法人口座または屋号付き口座を設定する場合は、インターネットで入会申込をしたうえで必要書類を郵送する形になります。

個人名義口座・モバ即インターネットで手続きし、対象金融機関のサイトで口座設定。最短5分でカード番号発行。受付は9:00〜20:00
個人名義口座・口座設定入会申込画面で手続きし、金融機関サイトで口座を設定。申し込みから1週間程度でカード発送
個人名義口座・郵送入会申込画面で手続きし、必要書類を郵送
法人口座/屋号付き口座入会申込画面で手続きし、必要書類を郵送
JCBのBiz ONEのお申し込みの流れのページの画面。個人名義口座の場合のモバイル即時入会サービスの6ステップと注意事項が示されている
出典:JCB「Biz ONEのお申し込みの流れについて」個人名義口座の場合

モバイル即時入会には条件が付きます。顔写真付きの本人確認書類による認証が必要で、カード番号の確認はMyJCBアプリ内に限られます。カードが届く前に店頭で使うには、Apple Pay・Google Pay・Samsung Walletの設定が要ります。速さと引き換えに、手元の環境が問われる設計です。

書類が少ない商品を「甘い」と表現するのは正確ではありません。提出書類が少ないのは、審査で見るものが違うからです。法人の決算内容ではなく、申込者個人の信用情報を中心に見る設計になっている、と読むほうが実態に近くなります。

個人事業主も対象に含む商品の例

国際ブランドVisa,Mastercard®,JCB
初年度年会費(税込)0円
2年目~年会費(税込)3,300円
年会費優遇条件-
ポイント還元率/基本0.50%
ポイント還元率/上限1.10%
ポイント倍増方法●クラステージ
200万円利用・翌年:2倍
●法人カード
翌年:+20%
【年会費特典】初年度年会費無料
【新規入会+eオリコでエントリー・条件達成】最大30,000オリコポイントプレゼント

設立直後・赤字決算のときに見るところ

設立したばかりの会社や、決算が赤字の年に申し込む場合、決算書の提出が必要な商品は不利になりがちです。この段階で現実的なのは、次の順序で候補を絞ることです。

状況 確認する項目 外れやすい商品
設立1期目で決算書がない 登記簿謄本・決算書が不要と明記されているか 提出書類の記載が「必要書類」だけで具体を示していない商品
個人事業主・副業 申し込み対象に個人事業主が含まれるか 「法人のみを対象」と書かれている商品
法人口座がまだない 個人名義口座を決済口座にできるか 法人口座の指定が前提の商品
とにかく早く使いたい カード番号の先行発行があるか、受付時間はいつか 郵送での書類提出が必須の経路
使用者を複数置きたい 追加カードの上限枚数と年会費の課金単位 本会員のみを想定した永年無料の商品

審査に落ちたあとに立て続けに申し込むのは避けたほうがよい、という話は広く言われますが、これも各社が基準を公表していない領域です。確実に言えるのは、申し込み対象から外れている商品に出しても結果は変わらない、という点だけです。

入会後に利用枠が見直される商品の例

国際ブランドAMEX(アメックス)
初年度年会費(税込)36,300円
2年目~年会費(税込)36,300円
年会費優遇条件-
ポイント還元率/基本0.50%
ポイント還元率/上限5.00%
ポイント倍増方法●ボーナスポイント・パートナーズ
高島屋オンラインストア :2倍
じゃらん :2倍
Oisix (おいしっくす) :2倍
アイシティ:3倍
イモトのWiFi :5倍
レストラン・ホテル:2倍~10倍

●メンバーシップ・リワード・プラス
ポイント交換レート:2倍
【年会費特典】初年度年会費無料
-

与信枠の上限は「上限」でしかない

商品ページに書かれている利用枠は上限値です。三井住友カード ビジネスオーナーズもビジネスカードも「~500万円」と表示されていますが、実際にいくら付くかは審査で決まります。ビジネスオーナーズには、本会員が持つ個人カードと合算されるという注記も付いています。

ここを読み違えると、届いたカードの枠が想定より小さくて支払いが回らない、という事態になります。発行後の増枠や一時的な引き上げの手順は法人カードの利用限度額に整理しています。申し込み前に、必要な月次の決済額を先に出しておくほうが安全です。

誤解されやすい表示 実際の意味
カード利用枠 ~500万円 上限。個別の枠は審査で決まる
登記簿謄本・決算書 不要 提出が不要というだけで、審査がないという意味ではない
最短5分でカード番号発行 条件を満たした場合の最短値。受付時間と本人確認の要件がある
年会費永年無料 本会員とパートナー会員の年会費。ETCなど付帯カードは別条件のことがある

保証金を預けて枠を作る仕組みの例

国際ブランドMastercard®
初年度年会費(税込)11,000円
2年目~年会費(税込)11,000円
年会費優遇条件限度額(極度額)で年会費が変動
極度額:30万~100万円→10,000円
極度額:110万~200万円→20,000円
極度額:210万~500万円→40,000円
極度額:510万~1000万円→60,000円
極度額:1010万円~→80,000円
ポイント還元率/基本0.50%
ポイント還元率/上限0.50%
ポイント倍増方法-
-
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カードが難しいときの選択肢

申し込み対象に入っていて書類もそろえたのに発行に至らない場合、決済手段そのものを切り替える道があります。デビットカードやプリペイドカードは、与信を伴わないため審査の考え方が異なります。事業の支払いをカード決済に寄せたいだけであれば、この経路でも目的の大半は達成できます。

デビットの選び方は法人向けデビットカードのページにまとめています。カードで積みたいのが経費の一元管理なのか、支払いの繰り延べなのかを分けて考えると、選ぶものが決まります。

年会費無料で使用者を絞る商品の例

国際ブランドAMEX(アメックス)
初年度年会費(税込)0円
2年目~年会費(税込)0円
年会費優遇条件-
ポイント還元率/基本0.50%
ポイント還元率/上限2.00%
ポイント倍増方法●海外利用
海外利用:2倍

●コバルト限定加盟店
ヤフービジネスサービスやクラウドワークス、AMAZON WEB SERVICEなど:4倍
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よくある質問

審査に通りやすい法人カードはどれですか。

通りやすさを示す数字は、どの会社も公表していません。公式に確認できるのは申し込み対象と必要書類です。個人事業主や副業を対象に含め、登記簿謄本・決算書を不要としている商品は、申し込みの入口が広く設計されています。

設立したばかりでも申し込めますか。

決算書の提出を求めない商品であれば、決算を迎えていなくても申し込み自体は可能です。ただし審査の結果は別で、各社が独自に判断します。

個人事業主でも法人カードを持てますか。

商品によります。三井住友カード ビジネスオーナーズは申し込み対象に個人事業主(副業、フリーランスを含む)を明記しています。一方、三井住友ビジネスカードは法人のみを対象としています。

赤字決算だと必ず落ちますか。

各社が審査基準を公表していないため、断定できません。決算書の提出を求めない商品を選べば、決算の内容が直接の判断材料にならない設計の商品に申し込むことはできます。

法人口座がなくても申し込めますか。

商品によります。三井住友カード ビジネスオーナーズは、申し込み本人の法人名義口座と個人名義口座(屋号付き含む)のいずれも決済口座にできます。ただし個人事業主は法人名義口座を指定できません。JCBのBiz ONEも、個人名義口座と法人口座・屋号付き口座で手続きが分かれます。

何枚まで同時に申し込んでよいですか。

枚数の上限を示した公式の記載は見当たりません。ただし、申し込み対象から外れている商品に出しても結果は変わらないため、対象に入っているものから順に検討するのが現実的です。

追加カードは何枚まで作れますか。

商品ごとに上限が書かれています。三井住友カード ビジネスオーナーズのパートナーカードは18枚までです。本会員と同時に申し込めるのは1枚のみで、2枚目以降は本会員のカード到着後に申し込みます。

参照した一次情報

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