法人カードの海外事務手数料は3社が値上げ|三井住友3.63%・アメックス3.5%・ダイナース2.00%、JCBは1.6%

三井住友のVisa・Mastercardが3.63パーセント、アメックスが3.5パーセント、ダイナースが2.00パーセント、JCBが1.6パーセントの4枚のカードを横に並べ、法人カードは適用開始日が個人カードより遅いことを下部に示したアイキャッチ

海外出張や海外のクラウドサービスの支払いを法人カードで通すと、請求額は現地の金額をそのまま円に直した額にはなりません。カード会社が為替レートに上乗せする「海外事務手数料」が入るためです。この上乗せ分が、2024年から2025年にかけて主要3社で一斉に引き上げられました。しかも法人向けカードは、個人カードより適用開始が遅れて設定されています。この記事では、三井住友カード・アメリカン・エキスプレス・ダイナースクラブ・JCBの4社について、公式ページに出ている料率と適用開始日を並べます。料率は2026年10月6日に各社の公式ページで表示されていた内容です。

先に答え:同じ100ドルでも、請求額は4社で最大304円ちがう

外貨のショッピング利用に上乗せされる料率は、三井住友カードのVisa・Mastercardが3.63%、アメリカン・エキスプレスが3.5%、ダイナースクラブが2.00%、JCBが1.6%です。

1ドル150円で100ドルを使った場合、上乗せ額は544円・525円・300円・240円。いちばん高い組み合わせといちばん安い組み合わせで304円の差が出ます。年間100万円を海外で決済する会社なら、差は2万円を超えます。

そして法人向けのカードは、個人カードよりあとから引き上げが適用されました。アメリカン・エキスプレスのコーポレート・カード・プログラムは2025年10月1日、三井住友コーポレートカードなどは2025年4月1日です。

4社の料率を並べる

海外事務手数料は、国際ブランドが決める基準レートに、カード発行会社が自社の取り分として上乗せする率です。カードの券面に書かれていないので、公式ページを見ないと分かりません。

三井住友カードの海外でのご利用にあたってのページの画面キャプチャ
出典:三井住友カード「海外でのご利用にあたって」。クレジットカードのVisa・Mastercardが3.63%、銀聯が2.50%、デビットカードのVisaが3.63%と表示されている(2026年10月6日取得)
外貨でのショッピング利用に上乗せされる料率(表の時点:2026年10月6日)
カード会社・ブランド 現在の料率 以前の料率 公式での呼び方
三井住友カード(Visa・Mastercard) 3.63% 2.20% 海外事務処理手数料(消費税等を含む)
三井住友カード(銀聯) 2.50% 公表なし 同上
アメリカン・エキスプレス 3.5% 2.0% 外貨取扱手数料
ダイナースクラブ ブランド(提携カード・法人カードを含む) 2.00% 1.30% 換算レートに加算する料率
ダイナースクラブ コンパニオンカード(Mastercardブランド) 3.63% 2.00% 同上
JCB 1.6% 改定の告知を確認できず 基準レートに加える率

JCBは公式サイトの「海外でのカード利用上のご注意」と、よくあるご質問の両方で「基準レートに1.6%を加えた換算レート」と書いています。2026年10月6日の時点で、この率を引き上げるという告知は見つけられませんでした。ただし、JCBブランドのカードを他社が発行している場合は、発行会社の取り分が別に加わることがあります。JCBの案内も「換算レートについては、所属されるカード発行会社へお問い合わせください」としています。

100ドルと年間100万円で、いくら違うか

料率の差は小数点以下に見えますが、金額に直すと無視できません。三井住友カードとアメリカン・エキスプレスは、公式ページに1ドル150円で100ドルを使った場合の計算例を自分で載せています。それにならって4社ぶんを並べます。

1ドル150円で100ドル(15,000円)を決済した場合の上乗せ額と請求額
カード 料率 上乗せ額 請求額 JCBとの差
三井住友カード(Visa・Mastercard) 3.63% 544円 15,544円 +304円
ダイナースクラブ コンパニオンカード 3.63% 544円 15,544円 +304円
アメリカン・エキスプレス 3.5% 525円 15,525円 +285円
ダイナースクラブ ブランド 2.00% 300円 15,300円 +60円
JCB 1.6% 240円 15,240円 -

三井住友カードとアメリカン・エキスプレスの544円・525円は、各社が公式ページに書いている計算例そのものです。ダイナースクラブとJCBの金額は、公表されている料率を同じ条件に当てはめたものです。

年間の海外決済額ごとの上乗せ額(料率を単純に掛けた概算)
年間の海外決済額 3.63% 3.5% 2.00% 1.6% 最大の差
50万円 18,150円 17,500円 10,000円 8,000円 10,150円
100万円 36,300円 35,000円 20,000円 16,000円 20,300円
300万円 108,900円 105,000円 60,000円 48,000円 60,900円
500万円 181,500円 175,000円 100,000円 80,000円 101,500円

海外のSaaSやクラウドの利用料をドル建てで払っている会社は、気づかないうちにこの額を払っています。年会費の差より大きくなることもあるので、海外決済が多い会社ほど、年会費ではなくこの料率でカードを選ぶ価値があります。

法人カードは適用開始日が個人カードと違う

見落としやすいのが適用開始日です。アメリカン・エキスプレスは、個人カードとビジネス・カードを2025年8月1日、コーポレート・カード・プログラムを2025年10月1日からとしています。2か月のずれがあります。

アメリカン・エキスプレスの外貨取扱手数料改定に関するお知らせの画面キャプチャ
出典:アメリカン・エキスプレス「外貨取扱手数料改定に関するお知らせ」。改定前2.0%、改定後3.5%、100ドルの計算例として手数料300円→525円と表示されている(2026年10月6日取得)
引き上げの適用開始日(各社の公式告知より)
カード会社 対象 適用開始
三井住友カード クレジットカード(Visa・Mastercard)・デビットカード全般 2024年11月1日以降に同社へ到着した売上
三井住友コーポレートカード/三井住友エクスプレスコーポレートカード/三井住友パーチェシングカード 2025年4月1日以降に同社へ到着した売上
アメリカン・エキスプレス 個人カード/ビジネス・カード 2025年8月1日
コーポレート・カード・プログラム(コーポレート・カード、JR東海EX・コーポレート、パーチェシング・カード、ビジネス・トラベル・アカウント) 2025年10月1日
ダイナースクラブ ダイナースクラブ ブランドのカード(提携カード・法人カードを含む)とコンパニオンカード 2025年12月1日の売上データ処理分

3社に共通しているのは、基準になるのが「カードを使った日」ではなく「売上データが到着した日」または「売上データを処理した日」だということです。三井住友カードもダイナースクラブも、改定日より前の利用でも改定後の料率になる場合があると明記しています。月末にまたいで使った分は、どちらの料率で請求されるか事前には決められません。

ダイナースクラブはブランドで2つに割れる

ダイナースクラブは少し構造が複雑です。同じ会社が発行していても、ダイナースクラブ ブランドのカードと、Mastercardブランドで発行するコンパニオンカードで料率が違います。

ダイナースクラブの換算レートに加算する料率の改定についてのお知らせの画面キャプチャ
出典:三井住友トラストクラブ「外貨でのショッピング利用金額の換算レートに加算する料率の改定について」(2025年9月1日付)。ダイナースクラブ ブランドが1.30%→2.00%、コンパニオンカード4種が2.00%→3.63%と表示されている(2026年10月6日取得)
ダイナースクラブの対象カードと料率
対象 改定前 改定後
ダイナースクラブ ブランドのカード(提携カード・法人カードを含む) 1.30% 2.00%
ダイナースクラブ コンパニオンカード/ビジネス コンパニオンカード/プレミアム コンパニオンカード/コーポレート コンパニオンカード(Mastercardブランド) 2.00% 3.63%

コンパニオンカードは、ダイナースクラブが使えない加盟店のために同時に持たされるMastercardです。ダイナースクラブ ビジネス コンパニオンカードやダイナースクラブ コーポレート コンパニオンカードを法人で持っている場合、どちらの券面で決済したかによって上乗せが2.00%にも3.63%にもなります。告知には、家族カード(コンパニオンカードを除く)、追加カード(ビジネスカード専用)、ビジネス・アカウントカード、リボルビングカード、メタルカードも対象だと書かれています。

上乗せがかからない取引もある

公式に「対象外」と書かれているもの

  • 海外キャッシングは対象外。三井住友カードは「海外キャッシュサービスについては、海外事務処理手数料がかかりません」、ダイナースクラブは「海外キャッシングサービスには加算されません」、JCBは「海外キャッシング1回払いについては、換算日の基準レートを換算レートとして日本円に換算します」としています。かわりに利息が付きます。
  • デビットカードは別の扱い。三井住友カードのデビットカード(Visa)はクレジットカードと同じ3.63%ですが、海外ATMの利用時にも海外事務処理手数料が加算されると明記されています。
  • 一部の提携カードは対象外。三井住友カードの告知は、Amazon Mastercardを本改定の対象外としています。提携カードを使っている場合は、カードごとの案内を確認してください。
  • 円で決済すると別の話になる。海外の店頭で「日本円で払いますか」と聞かれて円を選ぶと、カード会社ではなく店側のレートで換算されます。三井住友カードは、この方法は「弊社で日本円に換算する場合に比べて割高になる可能性があります」と注意しています。

最後の点は、料率の差より影響が大きくなることがあります。空港やホテルの端末で円建てを選ぶのは、1.6%と3.63%の差を気にする以前の問題です。経費精算のルールを作るなら、「海外では現地通貨で決済する」を先に書いておくほうが効きます。

明細を見ても手数料だけを取り出せない

海外事務手数料は、明細に手数料として別行で立つわけではありません。三井住友カードは「ご利用明細に記載の『換算レート』は、海外事務処理手数料加算後のレートです」と書いています。つまり、明細に出ている円貨額のなかに溶け込んでいます。

いくら払ったかを知りたいときは、自分で引き算することになります。明細の換算レートと、同じ日の銀行間レートを比べれば差が出ますが、換算日はカードを使った日ではありません。JCBは「通常、ご利用日から約3〜10日後が換算日となります」と案内しています。三井住友カードは、国際提携組織の決済センターに売上データが到着した時点のレートを使うとしています。

経理上は、円で請求された金額がそのまま費用の額になります。上乗せ分を分けて計上する必要はありませんが、同じドル建ての請求書でも円の金額が毎月ぶれるのは、この換算日のずれと料率の両方が理由です。社内で「見積もりと請求額が合わない」と言われたときは、まずこの2つを確認してください。

海外決済が多い会社が確かめること

1. いま使っている法人カードの料率を、カード会社の公式ページで確かめる。券面や年会費の案内には書かれていません。

2. ダイナースクラブのコンパニオンカードを持っているなら、どちらの券面で決済しているかを確かめる。2.00%と3.63%で倍近く違います。

3. 年間の海外決済額に料率を掛けて、年会費の差と比べる。年100万円なら、料率1.6%と3.63%の差は年2万300円です。

よくある質問

海外事務手数料は消費税の対象ですか。
三井住友カードは料率を「含む消費税等」と注記して3.63%と示しています。アメリカン・エキスプレスは3.5%という数字だけを示し、消費税の扱いには触れていません。表示の仕方が会社によって違うので、同じ土俵で比べたいときは公式の注記まで読んでください。
いちばん安い法人カードはどれですか。
公表されている料率だけで比べると、JCBの1.6%が最も低く、次がダイナースクラブ ブランドの2.00%です。ただしJCBブランドのカードを他社が発行している場合は、発行会社の取り分が別に加わることがあります。カード裏面の発行会社に確認してください。
いつの為替レートが使われますか。
カードを使った日ではありません。三井住友カードは国際提携組織の決済センターに売上データが到着した時点、JCBは同社が海外加盟店などへ支払処理を行った日(通常は利用日から約3〜10日後)としています。
海外のATMで現地通貨を引き出す場合も同じですか。
クレジットカードの海外キャッシングには海外事務手数料が加算されません。ただし利息がかかります。デビットカードの海外ATM利用には加算されると三井住友カードが明記しています。
海外の店で「日本円で決済」を選ぶと得ですか。
その場で円の金額が確定する利点はありますが、店側が決めたレートで換算されます。三井住友カードは、カード会社で換算する場合に比べて割高になる可能性があると案内しています。

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