法人カードの審査は、利用額が高額になり、経営破綻する可能性も高いため、個人向けの法人カードよりも、審査が厳しくなっています。法人カードは、審査が厳しいからこそ、審査が通らない、審査落ちしてしまう方も多く、審査のない法人カードを希望する経営者も少なくないのです。では、審査なしの法人カードはあるのでしょうか?審査不要の法人カードについて解説します。
そもそも、法人カードを作るときになぜ、審査が必要なのか?
法人カードを作るときになぜ、審査が必要なのか?
答えは
法人カードでは
- 3月1日に30万円のカード利用
- 3月31日に3月の利用額の確定:30万円
- 4月30日に登録口座から、30万円の引き落とし
という形で、約2カ月の間「カード会社が加盟店に立て替えお金を払っている状態」になります。
法人カードを利用する会社の口座振替ができない状態
- 会社が倒産した
- 口座に資金が入っていない(債務超過)
のような状態ですから、うっかりミスで口座に一時的に資金額なっていた以外は、カード会社の「貸し倒れ損失」となるのです。
この貸し倒れ損失を回避するためには
- 会社の信用情報に過去の返済遅延・返済事故などのデータがない
- 経営者の信用情報に過去の返済遅延・返済事故などのデータがない
- 経営状況が良い(決算書などを確認)
ことをチェックして、返済能力があると認められる法人にのみ、法人カードを発行する必要が出てくるのです。
この方法が「法人カードの審査」です。
法人カードの審査基準はこちら
審査のない法人カードってあるの?
逆に言えば
貸し倒れ損失が発生しない法人カードであれば、カード会社は審査をする必要がない
ということが言えるのです。
では、「貸し倒れ損失が発生しない法人カード」にはどんなカードがあるのでしょうか?
審査なしの法人カード
1.デポジット型法人カード
前述した通りで一般的な法人カードの場合は
- 3月1日に30万円のカード利用
- 3月31日に3月の利用額の確定:30万円
- 4月30日に登録口座から、30万円の引き落とし
という後払い型のカードです。
後払いだからこそ、カード会社が一旦立て替える必要が出てくるのです。
デポジット型の法人カードの場合は
- 先に法人カードを利用する方が保証金を入金
- 保証金(デポジット)の範囲内でカードの利用限度額が決定
- 3月1日に30万円のカード利用
- 3月31日に3月の利用額の確定:30万円
- 4月30日に登録口座から、30万円の引き落とし
変わりません。
あくまでも、保証金を先にもらっておいて、「万が一口座振替ができない状態が発生した場合に、その損失額は、保証金(デポジット)から充当させてもらいますよ。」という仕組みです。
カードにチャージして支払うSuicaやPASMOとは、厳密にいうと違うのです。
利用者が先にチャージして万が一の時の残高を確保しておくのですから、口座振替ができない状態が発生しても、その残高から充当されるため、カード会社に貸し倒れ損失が発生しないのです。
つまり、
ということになります。
おすすめのデポジット型法人カード
ライフカードビジネスデポジット(法人カード)/ゴールドカード
- 決算書不要
- ゴールドカード
- 限度額(極度額)に応じて年会費変動
国際ブランド | Mastercard® |
初年度年会費(税込) | 11,000円 |
2年目~年会費(税込) | 11,000円 |
年会費優遇条件 | 限度額(極度額)で年会費が変動 極度額:30万~100万円→10,000円 極度額:110万~200万円→20,000円 極度額:210万~500万円→40,000円 極度額:510万~1000万円→60,000円 極度額:1010万円~→80,000円 |
ポイント還元率/基本 | 0.50% |
ポイント還元率/上限 | 0.50% |
ポイント倍増方法 | - |
- |
- |
デポジット型法人カードのデメリット・注意点
デポジット型法人カードは、圧倒的に発行されている数が少ないです、2枚~3枚しか発行されていません。
また、年会費が高めに設定されていて、ポイント還元率も低い傾向にあります。
2.法人デビットカード
クレジットカードというのは
- クレジットカード会社が発行して
- カード利用が発生してから1カ月~2カ月後に
- クレジットカード発行に登録した口座から引き落とされる
仕組みのサービスです。
デビットカードというのは
- 銀行が口座と紐づけて発行するカードで
- カード利用が発生したら、リアルタイムで口座から引き落とされる
仕組みのサービスです。
法人デビットード → カード利用時、リアルタイムでの支払い → 立替発生しない
という違いがあります。
立替が発生しないということは、
ということになります。
おすすめの法人デビットカード
GMOあおぞらネット銀行ビジネスデビットカード
- キャッシュバック率1.0%
- 与信審査がない
- 年会費永年無料
- 限度額が1日最高500万円
発行会社 | GMOあおぞらネット銀行 |
国際ブランド | VISA,Mastercard |
初年度年会費(税込) | 0円 |
2年目~年会費(税込) | 0円 |
キャッシュバック還元率下限 | 1.00% |
キャッシュバック還元率上限 | 1.50% |
ポイント還元率下限 | - |
ポイント還元率上限 | - |
第三者不正使用保険 | ○1000万円 |
法人デビットカードのデメリット・注意点
法人デビットカードは、発行している銀行の数が少ない点と、ポイント還元率(キャッシュバック率)が低いデメリットがあります。
リアルタイムで口座から引き落とされるため、法人カードのような資金繰り改善の効果はありません。
また、法人デビットカードは利用できない支払いというものがあります。
例えば
- 月額・継続契約の利用料金のお支払い(公共料金・通信費など)
- ガソリンスタンドでのお支払い
- 高速道路通行料金(有人ブース)でのお支払い
- 航空会社の機内販売でのお支払い
- 一部ホテルでのお支払い
- 各種プリペイド・電子マネーの購入・チャージ代金のお支払い
などです。
高速道路通行料金(有人ブース)でのお支払いに対応していないので、追加カードとして、ETCカードを発行することもできません。
3.法人プリペイドカード
一般的な法人カードは
- 3月1日に30万円のカード利用
- 3月31日に3月の利用額の確定:30万円
- 4月30日に登録口座から、30万円の引き落とし
という後払い型(ポストペイ)のカードです。
法人プリペイドカードというのは
「プリペイド = 前払い」を意味するカードです。
カードにチャージして支払うSuicaやPASMOと同じように、カードに残高をチャージしておくと、その残高分経費支払いに利用できる仕組みとなっています。
管理部門の方が各部署、各担当者に持たせたプリペイドカードの残高を入金し、その残高の範囲内で、各部署、各担当者がプリペイドカードで支払いをする形になります。
立替が発生しないということは、
ということになります。
おすすめの法人プリペイドカード
三井住友カード/ビジネスプリペイド
- 年会費無料
- ポイント還元率:0.25%
カード会社 | 三井住友カード株式会社 |
国際ブランド | VISA |
カードランク | プリペイドカード |
ポイント還元率/基本 | 0.25% |
初年度年会費(税込) | 0円 |
2年目~年会費(税込) | 0円 |
発行手数料(税込) | 204円/枚 |
発送手数料(税込) | 866円/届け先(500枚まで) |
チャージ手数料(税込) | 204円/回。VJA・オムニカード協会加盟各社発行のVisaカード、Mastercardでのチャージ無料 |
チャージ方法 | クレジットカード、インターネットバンキング |
カード上限残高 | 100万円/海外・国内 |
管理上の機能 | アカウント別の予算管理可能 カード別のチャージ可能 利用通知メール 利用ロック機能 残高合算機能 |
法人プリペイドカードのデメリット・注意点
法人プリペイドカードは、いろいろな手数料が発生します。
- 発行手数料
- 発送手数料
- チャージ手数料
- 管理システムの利用料金
ポイントなどのお得面は弱く、コスト高になってしまうデメリットがあります。
また、法人プリペイドカードは利用できない支払いというものがあります。
例えば
- 月額・継続契約の利用料金のお支払い(公共料金・通信費など)
- ガソリンスタンドでのお支払い
- 高速道路通行料金(有人ブース)でのお支払い
- 航空会社の機内販売でのお支払い
- 一部ホテルでのお支払い
- 各種プリペイド・電子マネーの購入・チャージ代金のお支払い
などです。
高速道路通行料金(有人ブース)でのお支払いに対応していないので、追加カードとして、ETCカードを発行することもできません。
審査なしの法人カードを利用するときの注意点
1.コストパフォーマンス・お得さは通常の法人カードに劣る
- デポジット型法人カード
- 法人デビットカード
- 法人プリペイドカード
どのカードも
- 法人カード
と比較すると
- 年会費や手数料が高めに設定されている
- ポイント還元率(キャッシュバック率)が低めに設定されているか、ない
- 優待サービスなどがほとんど用意されていない
という特徴があります。
「お得」を重視したい方の場合は、法人カード審査に1枚、2枚落ちたからと言って、いきなり審査なしの法人カードを検討するのではなく、審査の甘い他の法人カードも申し込んでみて、最後まで法人カードが利用できないか粘ることをおすすめします。
同時に発行しても、問題ないため、審査なしの法人カードを使いながらも、定期的に法人カード審査にトライすることをおすすめします。
2.利用できない支払いがあるので、個人用のクレジットカードでカバーする
- 法人デビットカード
- 法人プリペイドカード
の場合は、Visa、Mastercard、JCBなどの国際ブランドの加盟店で利用できる点は、法人カードと同じなのですが・・・
利用できないお店・支払いがある
ので注意が必要です。
法人デビットカードも、法人プリペイドカードも、即時支払いの仕組みを採用しているため、毎月支払うような「月額・継続契約」の支払いには対応していないのです。
- 公共料金
- 電話料金
- 衛星放送・CATV視聴料
- インターネットプロバイダー利用料
- WiMAXサービス利用料
- 新聞購読料(電子版含む)
- 保険料
- レンタルサーバー
- ウォーターサーバー
- 定額サービス
- 通信教育
- 月会費
- ガソリンスタンドでのお支払い
- 高速道路通行料金(有人ブース)でのお支払い
- 航空会社の機内販売でのお支払い
- 一部ホテルでのお支払い
- 各種プリペイド・電子マネーの購入・チャージ代金のお支払い
などに対応しておらず、これらの支払いをしようとすると、エラーになってしまうのです。
このような問題を回避する方法の一つとして「個人向けのクレジットカードを法人支払い用として持っておく」ことをおすすめします。
法人カードと比較すると、個人向けのクレジットカードは、審査が甘いので、作れる方、持っている方も少なくありません。万が一、法人デビットカードや法人プリペイドカードで支払いができない場合に備えて、会社用として、個人のクレジットカードを持っておくと良いのです。名義が個人名義であっても、経費支払いに利用した場合、税務上、経費として認められます。
重要なポイントは、個人の生活費などプライベート資金の支払いと法人用の支払いを混同しないことです。年に数回であれば、混同していても、役員立て替えで処理すれば問題ないのですが、状態かしてしまうと、個人利用と法人利用が混同されてしまい、税務署などに脱税の疑いをかけられてしまいます。
3.年会費や手数料などコスト高のものが多いので、法人カードが作れるようになったら移行させる
- デポジット型法人カード
- 法人デビットカード
- 法人プリペイドカード
どのカードも
- 法人カード
と比較すると
- 年会費が高い
- 余計な手数料が発生する
ものが少なくありません。
「審査落ちで作れる法人カードがないのですが、審査のない法人カードってありますか?」