意外に、わかっているようでわかっていないのが「法人カードの名義」に関することです。法人カードを利用する上では、必ず名義の入力、名義の記入が必要になるため、理解しておく必要があります。
法人カードの名義は、個人名義?法人名義?
結論から言えば
実際の法人カードの券面を見て「名義」をチェックしてみると
三井住友ビジネスカード for Owners(ゴールド)
「TARO KOKUSAI」 → 個人名義(法人カードの正式な名義)
JCB Biz ONEプラチナ
「REXPORT INC」 → 会社名
EX Gold for Biz M(エグゼクティブ ゴールド フォー ビズ エム)
ライフカードビジネスライトプラス(スタンダード)/一般カード
カード券面には
「COMPANY NAME」 → 会社名
となっていて、会社名の記載ありなしの差はありますが
個人名義(法人カードの正式な名義)がカード券面に印字されている
= 法人カードの名義は「個人名義」
ということがわかるのです。
なぜ、法人カードの名義は個人名義なの?
クレジットカードの名義とは
ネットショッピングでクレジットカード払いを選択すると、ほぼ必ず「名義人の入力欄」があります。(ないものもあります。)
飲食店や店舗で、クレジットカード払いをする時に、サインをする際にも、「名義人のサイン」が必要になります。
つまり、「このクレジットカードは、誰のものなのか?」を加盟店が知るために、(カード会社の情報と照合するために)名義情報が必要になるのです。
法人カードの場合は?
三井住友ビジネスカードの入会申込書には
当社は裏面の会員規約、個人情報の取り扱いに関する同意条項、および海外キャッシュサービスを利用した場合に会員規約33条に則り、貸金業法第17条第6項および第18条第3項に規定された書面が「ご利用代金明細書」で交付されることを承認の上、カードの入会を申込み、下記の者をカード使用者としてしていいたします。
カード使用者は、裏面の会員規約・個人情報の取り扱いに関する同意条項、特に自己のカード利用による代金支払いについて会社と連帯して責任をもつ旨を承認の上、カード使用者となることを申し込みます。
と書かれています。
簡単に言えば
ということです。
名義の定義は
ですから
となるのです。
法人カードを使用するときには
オンライン上で「名義人」の入力を求められたら
法人カード券面に印字されている個人名を入力する
(要求された入力方法「ローマ字」「ひらがな」「カタカナ」「漢字」)
店舗でクレジットカードを利用するときにサインを求められたら
法人カード券面に印字されている個人名でサインする
(カード裏面にも同じサインをしておく必要があります。)
前述したライフカードビジネスライトプラス(スタンダード)/一般カードのように
「TARO RAIFU」
「COMPANY NAME」
と、個人名と会社名が併記されている場合も、個人名義でサインする必要があります。
よく考えれば、法人カードの名義人が個人になるのは、当然のことです。
法人カードの名義が個人名義ではなく、法人名義だったら、
- 追加カードを発行した場合に「誰が使ったのか?」判別できなくなってしまう
- 法人カードが盗難に遭った時に、他人に使われてしまった場合も、盗難されたものか判別できない
- 他の人とサインが判別できなくなる
- 使用者がみんな会社名でサインすることになってしまう
・・・
上記のように色々と問題が発生してしまうのです。
法人カードの追加カードの名義
法人カードの追加カードとは
を言います。
個人カード(親カード)の家族カード(子カード)と同じ仕組みです。
- 個人カード → 親カード:契約者本人、子カード:家族
- 法人カード → 親カード:経営者・代表者、子カード:役員、社員
追加カードを利用すると、その追加カードの利用額は親カードの利用額として請求されます。
社員に追加カードを発行した場合は、経営者・代表者(親カード)の登録している引き落とし口座(法人口座)から引き落とされるということです。
経費利用する社員が多い場合は追加カードを発行するのですが、この場合の追加カードの名義も、発行された社員の個人名義となります。
- 法人カード(親カード)→ 経営者Aさん(名義:Aさんの個人名義)(法人口座引落)
- 法人カード(子カード)→ 役員Bさん(名義:Bさんの個人名義)(法人口座引落)
- 法人カード(子カード)→ 営業部長Cさん(名義:Cさんの個人名義)(法人口座引落)
- 法人カード(子カード)→ 総務部長Dさん(名義:Dさんの個人名義)(法人口座引落)
- 法人カード(子カード)→ 経理Eさん(名義:Eさんの個人名義)(法人口座引落)
となるのです。
法人カードの「名義」に関するよくあるトラブルと対処法
ケース1.上司にカードでお使いを頼まれるケース
法人カードを保有している経営者に経理担当者が
と頼まれたとします。
しかし、店舗でサインを求められた時に、経理担当者自身のサインをしてしまったら・・・
とお店側にはことわられてしまいます。
カード会社の利用規約では「カードの使用は、カードの名義人本人しか利用してはいけない。」となっているからです。
ですから、店員がこの誤りに気付いてしまえば使えないのです。店員の中にはこの違いを見抜けずに、そのまま使えてしまうケースもあります。
JCBの会員規約抜粋
第2条 (カードの貸与およびカードの管理)
3.カードの所有権は当社にあります。会員は、善良なる管理者の注意をもってカードおよびカード情報を使用し管理しなければなりません。また、カードは、会員本人以外は使用できないものです。会員は、他人に対し、カードを貸与、預託、譲渡もしくは担保提供すること、またはカード情報を預託しもしくは使用させることを一切してはなりません。
対処法
現実的には、お使いを頼まれたのであれば経営者の名前を代わりにサインすることで、ほとんどのケースでは法人カードが使えます。
厳密に言えば、この行為も規約違反なのですが、サインの違いまでチェックする店員はほぼいないので、気づかれることはほとんどありません。
ただし、最近はサインレスで暗証番号の入力を求められるお店も増えているので、頻繁にお使いを頼まれるのであれば、経理担当者要の追加カードを発行してもらうことをおすすめします。追加カードであれば、経理担当者自身の個人名が法人カード名義になるからです。
ケース2.ネットショッピングアカウントと法人カード名義が違うケース
法人でも、ネットショッピングを利用するケースは多々あります。
- 楽天市場
- Amazon.co.jp
- Yahoo!ショッピング
会社の備品、消耗品、オフィス用品などを購入するケースは少なくないはずです。
このときに注意が必要なのは
となっていないと、高額な支払のときにクレジットカード会社が支払いを拒否するケースがあるということです。決済が完了しないとうことです。
実際に楽天市場で
という場合に
今回ご注文のお支払方法でクレジットカード決済をご指定いただいておりましたが入力いただいたクレジットカード番号で承認を取ろうとしましたところ
クレジットカード会社より、「ご注文者様のカードのご名義」に相違があるとの事で承認を取ることができませんでした。
大変お手数ですがお客様のクレジットカード情報がお間違えでないか、ご確認いただけますでしょうか。
というメールが送られてきて、決済が完了しないケースがあるのです。
例えば
というケースが考えられます。
カード会社も、数百円や数千円程度の支払であれば、違いがあっても、チェックせずに決裁を処理することが多いのですが、1万円を超えてくる支払いの場合は、名義の確認を慎重にするため、ネットショッピングモールのアカウント名義と法人カードの名義が違う場合には支払いを拒否するケースがあるのです。
とカード会社が考えるからです。不正利用の防止のために、アカウント名義と法人カード名義の一致をチェックしているということです。
対処法
ケース3.結婚して名義が変わるケース
結婚して苗字が変わった時も、法人カードが使えなくなる可能性があります。
個人向けのクレジットカードと違って、引き落とし口座は法人口座なので
- カード名義:旧姓
- サイン:旧姓
にしておけば、結婚前と同様に法人カードを利用し続けられることが多いのですが、前述した通りでアカウントの名義などもすべて「旧姓」にしなければならないので、こんがらがってしまい、使えない事象が発生してしまう可能性もあります。
対処法
結婚や離婚で名前が変わる際には、速やかに名義変更をすることをおすすめします。
名義変更は、カード会社によって方法が異なります。
JCBの場合
個人カードの場合は
- 会員専用WEBサービス「MyJCB(マイジェーシービー)」で変更可能
法人カードの場合は
- 法人デスクに問い合わせ
となっています。
ケース4.法人カード名義の入力を間違えるケース
ネットショッピングなどの決済でクレジットカード払いを選択したときの法人カード名義の入力欄には
ローマ字(大文字)で、カード券面に印字された個人名の通りに入力するのが一般的です。
カード名義の入力欄には「記入例」「名義の文字入力方法の指定」があるのでそれに従って入力する必要があります。
例:Adobeシステムズの注意事項
名義人の入力項目に漢字や平仮名で入力をしていないか?
※「名義人」と漢字で書いてある為、漢字で入力されている場合、日本語ではなくアルファベットで入力。(文字は大小どちらでも可能。間に半角スペースを入れる。)
となっています。
Adobeは外資系のシステム会社で世界展開しているグローバル企業です。このような世界展開をしている企業のインターネットサービスなどを利用する場合は、ローマ字入力が前提のケースが多く、但し書きもないケースがあるので
※氏名に「半角スペース」を空ける
ことに注意が必要です。
基本的に、漢字は読み方の違いや判別の難しさもあるため、日本の企業であっても、ローマ字が一般的で、その次に多いのがカタカナ入力となっています。
何を入力して良いのか、わからなくなったときは、カード券面に記載されているローマ字表記で名義は記載するものと覚えておきましょう。それでもカード利用ができない場合は、名義の問題ではなく、限度額やカードの利用停止の可能性があるのでコールセンターに連絡して相談すれば解決します。
まとめ
- ネットショッピングで法人カードの名義を入力する場合
- 店舗でのクレジットカード払いでサインを要求された場合
「個人名義」を記載する必要があるのです。
また、
- 名義とサインが違う
- 名義とアカウント情報が違う
- 契約時の名前と名義が違う
- 名義の入力方法がサイト指定の入力方法と異なる
など・・・
法人カードの個人名義を正しく入力していない、利用中のサービスの名義と異なる場合には、カード利用ができないケースが発生するので注意が必要です。
利用者が多い法人カードとは?
「サインを求められた時って、個人名を書くの?会社名を書くの?」
「ネットショッピングで名義入力を求められた時って、個人名を書くの?会社名を書くの?」
「法人カードを作ったのですが、カード券面が会社名でなく、個人名になっています。大丈夫でしょうか?」