「法人カードのポイントを効率的に貯めて、会社の経費削減を実現したい」という経営者の方も多いと思います。今回は、法人カードで貯めたポイントを使ってできる経費削減、コスト削減方法について解説します。
法人カードのポイント還元率とは?
法人カードのポイント還元率は、残念ながら個人のクレジットカードのポイント還元率と比較すると低く設定されています。
個人のクレジットカードのポイント還元率
- 最も小さいもの:0.4%~0.5%
- 平均相場:1.0%
- 最も高いもの:2.0%
法人のクレジットカードのポイント還元率
- 最も小さいもの:0.0%(付与なし)
- 平均相場:0.5%
- 最も高いもの:1.0%
です。
個人の場合
多くの方の場合、クレジットカード会社が立て替えたお金の返済原資は「給与」です。給与が多い、少ないというのはありますが、マイナスになることはありませんし、退職、クビ、会社の倒産で一時的に収入が途絶える可能性はありますが、雇用保険もあれば、転職すれば収入は復活します。アルバイトや派遣社員など、働き方にこだわらなければ、個人で収入を得る方法というのはいくらでもあるのです。
しかも、個人向けのクレジットカードの限度額は50万円~100万円程度ですので、働ければ返せる金額なのです。
法人の場合
法人の場合、利益が出せなければ損失が発生し、経営者の給料もゼロどころか、法人への貸付が必要になるケースもあります。
また、法人の借入に対しては連帯保証人になる必要があるので、会社の経営者は、法人の借金も肩代わりしなければならないのです。会社が倒産してしまうと、返済できない場合は自己破産するしかなくなってしまい、自己破産するとなると、債務(借金)が帳消しになってしまいます。クレジットカード会社も例外ではなく、自己破産されてしまえば、立て替えたお金を回収できなくなってしまうのです。
バカにできない法人カードのポイントの収益性
法人カードのポイント還元率は、個人のクレジットカードよりも小さいと言いましたが、それでも十分に大きなコスト削減につながります。
筆者は法人経営者で、法人カードを10枚所有しています。経営者とは言っても、社員はおらず1人で経営している超零細企業です。
超零細企業の1人社長が2015年に1枚の法人カードで利用した総額は
EX Gold for Biz M(エグゼクティブゴールドフォービズ エム)
です。
この法人カードを当時は一番使っていたのですが、他の法人カードで決済することもあるので、
です。
となります。
ポイント還元率1.0%の法人カードであれば
となります。
これは毎年発生しますから
- 5年利用すれば、50万円
- 10年利用すれば、100万円
もの金額のポイントが付与されることになります。
ポイントは雑収入ですから、毎年5万円の雑収入が法人カードを使うことによって、受け取れるのです。
言い方を変えれば
ということと、ほぼ同義です。
法人カードのポイントは「電子マネー」「キャッシュバック」に交換できるので、ポイント額がそのままコスト削減として、カウントできるのです。
法人カードのポイントの使い道はこちら
ここで「たかが0.5%」という経営者の方もいるかと思いますが、「ほぼ何もすることなく0.5%のコスト削減は大きい」と考える経営者もいるはずです。
よほど儲かっている方でない限り、毎年5万円の収入を無視する方はいないでしょう。しかも、それを得るためにすることは「経費支払いを法人カードに切り替えるだけ」なのです。
と思う方もいると思いますが
筆者の会社社、WEBの会社ですので「接待」はほとんどありません。
私がカード利用しているのは
- Yahoo!広告宣伝費
- google広告宣伝費
- クラウドソーシングの発注費用
- 電話回線
- インターネット回線
- ドメイン費用
- サーバー費用
- タクシー代
- 書籍代
- 打ち合わせでの飲食代(接待をしないのでコーヒー代ぐらい)
- 光熱費
ぐらいです。
金額的にインパクトの大きいのは
- インターネットの広告宣伝費:毎月50万円程度
- クラウドソーシング:毎月20万円程度
です。
クラウドソーシングとは
有名なところでは
クラウドワークス
- 会員数138万人
※2017年5月時点
ランサーズ
- 依頼総額 1622億740万5460円
- 依頼件数 1,486,111件
※2017年5月時点
WEBの会社だからということもありますが、現在はどんな業種の事業形態でも、インターネットを活用することが集客で重要な要素になっているのですから、どの企業であっても、インターネット広告を多かれ少なかれ利用している、利用したことがあるはずです。
社内の人員を増やすよりも、クラウドソーシングを利用して格安で外部に発注することも、経営の一つの選択肢となっていますし、実際に利用している方も多いはずです。
法人カードのポイントを効率的に貯める方法
方法その1.経費支払いを「カード払い」に変更する
前述した通りで、法人カードのポイントを効率的に貯める方法は
- 経費支払いを「カード払い」に変更すること
- とくに広告宣伝費や人件費(外注費)などの高額な支払いを「カード払い」にするとポイントが貯まりやすい
という2点です。
当然、法人カードのポイントを貯めるために「無理に経費を増やす」のでは、コスト削減としては本末転倒ですから
- 今、利用している経費の支払いをカード払いに変える
- 今、別のところに発注している広告宣伝費や外注費をさらにコスト削減するために、カード払いのできるインターネット広告やクラウドソーシングに変更する
ことをおすすめします。
方法その2.「カード払い」の漏れをなくす
もう一つの法人カードのポイントを貯めるコツは
です。
出張に行くときにも
- ホテル
- 新幹線
- 飛行機
- 出張先でのレンタルオフィス
- 出張先での飲食店
- タクシー
など、すべてネット予約で事前にクレジットカード決済をすることが可能です。
JCB法人カードの場合
JALオンライン
ANA@desk
出張管理じゃらんコーポレートサービス
タクシーであれば「全国タクシー」
飲食店であれば「じゃらん」
ApplePayで「iD」「Quickpay」の電子マネー支払いを使う
などの方法が利用できます。
高齢の経営者の方などは、クレジットカード払いを忘れることも多い為、経理担当者が事前にカード決済で出張後の支払いを済ませておけば、カード払いを忘れる可能性は少なくなります。
また、別の役員がキャバクラの接待で現金で支払ってしまうというケースもありますし、社員がパソコンの購入を現金で支払ってしまうケースもあります。
ということも、カード払い漏れを回避する方法なのです。
細かい点に気をつければ、かなりのカード利用額になるはずです。
方法その3.ポイント還元率の高い法人カードを使う
前述した通りで
法人のクレジットカードのポイント還元率
- 最も小さいもの
- 平均相場:0.5%
- 最も高いもの:1.0%
です。
当然ですが、最も高いものを選んだ方が得られるポイントは増えるのです。
ポイント還元率の高い法人カードはこちら
ポイント還元率1.0%のおすすめ法人カード
国際ブランド | Visa |
初年度年会費(税込) | 0円 |
2年目~年会費(税込) | 0円 |
年会費優遇条件 | - |
ポイント還元率/基本 | 1.00% |
ポイント還元率/上限 | 1.00% |
ポイント倍増方法 | - |
- |
- |
国際ブランド | Visa |
初年度年会費(税込) | 13,200円 |
2年目~年会費(税込) | 13,200円 |
年会費優遇条件 | ※楽天プレミアムカードと楽天ビジネスカードはセットで発行 |
ポイント還元率/基本 | 1.00% |
ポイント還元率/上限 | 4.00% |
ポイント倍増方法 | ●楽天市場 ポイント:+2.0% ●選べるサービス (楽天市場、楽天トラベル、Rakuten TV、楽天ブックス) ポイント:+1.0% ●お誕生月 ポイント:+1.0% |
- |
【新規入会】3,000円分のポイント |
法人カードポイント還元率比較
人気ランキング | 法人カード名 | 初年度年会費(税込) | 2年目~年会費(税込) | ポイント還元率/基本 | ポイント還元率/上限 | ポイント倍増方法 |
---|---|---|---|---|---|---|
80位 | ラグジュアリーカード/Mastercard Black Diamond Card | 1,760,000円 | 660,000円 | 2.00% | 4.40% | 商品券との交換 |
5位 | Airカード | 5,500円 | 5,500円 | 1.50% | 1.50% | ●リクルートサービス ポンパレモール:3.0% じゃらん:2.0% ホッテペッパー:人数×50ポイント |
39位 | ANAダイナース プレミアムカード+ビジネス・アカウントカード | 170,500円 | 170,500円 | 1.50% | 4.50% | ●ANAグループでのご利用 100円 → +2.0ポイント ●ANAカードマイルプラス加盟店 100円 → +0.5~1.0ポイント ●ポイントアップ加盟店 ホテル:2倍 レストラン:2倍 ショップ:2倍 |
6位 | ラグジュアリーカード/Mastercard Gold Card | 220,000円 | 220,000円 | 1.50% | 3.30% | 商品券との交換 |
34位 | ラグジュアリーカード/Mastercard Black Card | 110,000円 | 110,000円 | 1.25% | 2.75% | 商品券との交換 |
41位 | セゾンゴールド・ビジネスプロ・カード | 3,300円 | 3,300円 | 1.00% | 1.00% | - |
24位 | セゾンプラチナ・ビジネスプロ・アメリカン・エキスプレス・カード | 27,500円 | 27,500円 | 1.00% | 1.00% | - |
17位 | JCB Biz ONE ゴールド | 0円 | 5,500円 | 1.00% | 10.50% | ●JCB ORIGINAL SERIESパートナー スターバックス:20倍 Amazon.co.jp:3倍 ガソリンスタンド:2倍 |
1位 | JCB Biz ONE | 0円 | 0円 | 1.00% | 10.50% | ●JCB ORIGINAL SERIESパートナー スターバックス:20倍 Amazon.co.jp:3倍 ガソリンスタンド:2倍 |
25位 | NTTファイナンス Bizカード ゴールド | 11,000円 | 11,000円 | 1.00% | 1.00% | - |
注意
ポイント還元率の高い法人カードは年会費が高額設定のものが多いのです。カード利用額とポイントによるお得額のバランスに注目して比較する必要があります。
法人カード利用額別獲得ポイント
法人カード利用額別獲得ポイント早見表
※利用額の見出しをクリックすることで並び順が変わります。
人気ランキング | 法人カード名 | 初年度年会費(税込) | 2年目~年会費(税込) | ポイント還元率/基本 | 月1万利用 | 月5万利用 | 月10万利用 | 月30万利用 | 月50万利用 | 月100万利用 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1位 | JCB一般法人カード | 0円 | 1,375円 | 0.50% | -775円 | 1,625円 | 4,625円 | 16,625円 | 28,625円 | 58,625円 |
3位 | セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード | 22,000円 | 22,000円 | 0.50% | -21,400円 | -19,000円 | -16,000円 | -4,000円 | 8,000円 | 38,000円 |
4位 | NTTファイナンス Bizカード レギュラー | 0円 | 0円 | 1.00% | 1,200円 | 6,000円 | 12,000円 | 36,000円 | 60,000円 | 120,000円 |
5位 | Airカード | 5,500円 | 5,500円 | 1.50% | -3,700円 | 3,500円 | 12,500円 | 48,500円 | 84,500円 | 174,500円 |
6位 | ラグジュアリーカード/Mastercard Gold Card | 220,000円 | 220,000円 | 1.50% | -218,200円 | -211,000円 | -202,000円 | -166,000円 | -130,000円 | -40,000円 |
7位 | アメリカン・エキスプレス・ビジネス・プラチナ・カード | 143,000円 | 143,000円 | 0.50% | -142,400円 | -140,000円 | -137,000円 | -125,000円 | -113,000円 | -83,000円 |
8位 | ダイナースクラブビジネスカード | 27,500円 | 27,500円 | 0.40% | -27,020円 | -25,100円 | -22,700円 | -13,100円 | -3,500円 | 20,500円 |
9位 | セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード | 0円 | 0円 | 0.50% | 600円 | 3,000円 | 6,000円 | 18,000円 | 30,000円 | 60,000円 |
10位 | アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード | 36,300円 | 36,300円 | 0.50% | -35,700円 | -33,300円 | -30,300円 | -18,300円 | -6,300円 | 23,700円 |
11位 | JCB Biz ONE | 0円 | 1,375円 | 0.50% | -775円 | 1,625円 | 4,625円 | 16,625円 | 28,625円 | 58,625円 |
法人カードのお得度比較はこちら
法人カードのポイントってどう使えばいいの?
という経営者の方もいるかと思います。
例えば
JCB法人カードで貯まる「Oki Dokiポイント」の場合
電子マネー
- nanaco
- 楽天Edy
にも交換することができますし
共通ポイントである
- WAON
- Tポイント
- auWALLET ポイント
にも交換することができますし
家電量販店
- ビックポイント
- ビックネットポイント
にも交換することができます。
これらは全てポイント還元率0.5%のままの交換レートで交換可能です。
会社で購入する予定の
- 消耗品
- PCや周辺機器
- テレビ
- オフィス家具
- オフィスのインテリア
- 書籍代
- 出張時のホテル代
など、ほとんどの支払に利用できます。
さらに直接お支払い金額に充当することも可能です。
若干交換レートは下がってしまいポイント還元率0.45%になりますが、直接請求額に充当されるのです。
キャッシュバック、請求額への充当ができる法人カードであれば直接的なコスト削減としてポイントを活用できます。
法人カードのポイントの賢い使い道はこちら
ポイントのよくある質問「経営者個人の利用にポイントを使ってもいいの?」
法人カードのポイント活用で良くある質問が
というものです。
厳密に言えば
法人カードのポイントは税務上の会計処理では、法人の「雑収入」になります。法人で利用する経費にポイントを使わなければならないのです。
実際は
というのが実情です。
あくまでも、「現時点では」という但し書きつきですが
「雑収入」で処理するのが一般的なのですが、それがルールとして決まっているわけではないのです。
税務署にしてみても「大きな労力を割いて、数万円のポイントの会計処理を厳格に決める、取り締まることに大きな意味がない」と考えているのでしょうから、ルールがないのです。
そのため
- 法人カードで貯めたポイントで自宅のソファーを買っても
- 法人カードで貯めたポイントをマイルに変えてプライベートの海外旅行に行っても
- 法人カードで貯めたポイントを日々のコンビニ利用時に使っても
今のところ、おとがめはありません。
ただし、社員にばれると
「ポイントは経費に回して浮いた分給料を上げろ」
と、陰口をたたかれかねないので、社員にばれないように使うことをおすすめします。
法人カードで貯めたポイントやマイルは社長(個人)のために利用して良いの?
法人カードは、ポイント以外のサービスも充実しているため、ポイント以外の視点で比較検討することも一つの方法と言えます。
おすすめの法人カードはこちら
まとめ
法人カードのポイントは、平均で「経費利用額の0.5%」が還元されます。
- インターネット広告
- クラウドソーシング
- クラウド経費ソフト
- クラウド・・・
と、様々なビジネスサービスがどんどんオンライン化、クラウド化しているので、その分クレジットカード決済を利用できるサービスも増えているのです。
法人カードのポイントを効率的に貯める方法には
- 広告宣伝費や外注費など大きな費用をカード払いにする
- 現在利用している現金支払いをすべてカード払いにする
- カード払いが漏れてしまうことを防ぐためにネットでの事前決済を活用する
- ポイント還元率の高い法人カードを作る
- 社員にも追加カードを持たせてカード決済を徹底させる
などの方法があります。
零細企業、社員数数名の中小企業であっても、これらの方法を利用すれば
- カード利用額:年間1,000万円
- ポイント獲得額:年間10万円
というのも、難しい金額ではありません。
貯めたポイントは
- 経費として使うことも
- 直接的な請求金額への充当(キャッシュバック)にも
利用できるので、使い道に困ることはありません。
まだ、法人カードを持っていない経営者の方は「支払い方法をカード払いに変える」という単純な行為だけで、毎年数万円の経費削減が実現できるのですから、利用しない手はないのです。
すでに法人カードを利用している方も、カード払いの利用漏れがないかチェックして、場合によっては今よりも高還元率の法人カードに切りかえることも検討してみてはいかがでしょうか。
「法人カードのポイントってどう使えば良いの?」
「法人カードのポイントの効率的な貯め方を教えてください。」