法人プリペイドカードとは?法人プリペイドカードの仕組み・使い方・メリットデメリットを法人カードと比較して解説

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「法人プリペイドカードとは何ですか?」
「法人プリペイドカードのメリットデメリットを教えてください。」
「法人カードと比較して、法人プリペイドカードを使う理由はありますか?」

近年、急速に普及している法人カードに続いて、法人プリペイドカードという決済用カードが徐々に増えてきています。今回は、法人プリペイドカードの仕組み・使い方・メリットデメリットを法人カードと比較しながら、解説します。

法人プリペイドカードとは?

法人プリペイドカードとは

法人経営者、社員が事業費用の支払いに利用するプリペイドカードのこと

を言います。

プリペイドカードとは

あらかじめカードに現金をチャージしておくと、その範囲内でプリペイドカード加盟店で支払いができるカードのこと

を言います。

つまり、

法人経営者、管理者が事前に法人プリペイドカードに現金をチャージしておけば、法人プリペイドカードの加盟店で買い物、支払ができる仕組みになっているのです。

法人プリペイドカード・法人カード・法人デビットカードの比較

項目 法人カード 法人プリペイドカード 法人デビットカード
与信審査 あり なし なし
利用限度額 利用限度額審査により設定 チャージ残高の範囲内 口座残高の範囲内
商品購入時の支払いタイミング 1カ月~2カ月後に口座残高から引き落とし チャージ残高から引き落とし 口座残高から引き落とし
発行までの日数 3営業日~1週間 2週間~3週間 3営業日~1週間
コスト 年会費 発行手数料
発送手数料
チャージ手数料
管理システムの利用料金
年会費
発行手数料

法人プリペイドカードの仕組み

  • 法人プリペイドカードは、経費支払をする可能性がある社員・役員に発行されます。
  • 管理者(経営者や経理担当者など)が管理画面からチャージすることで、各法人プリペイドカードの残高が増えます。
  • 各法人プリペイドカードを持っている社員は、チャージされた残高の範囲内で経費支払が可能になります。
  • 各法人プリペイドカードの利用状況は、リアルタイムで管理画面に反映され、管理者が利用状況を把握することができます。
  • 社員は、残高が減って利用できない場合に、チャージをリクエストすることができます。
  • 管理者は、社員が間違った利用方法を取った場合などに、利用できないようにロックすることができます。

管理画面の機能

例:三井住友カード/ビジネスプリペイド
  • カード一覧 → 登録カード情報へ
  • プリペイドカード購入
  • カード追加登録
  • カード残高合算
  • お客様情報照会
    • パスワードの変更
    • 利用クレジットカードの登録/変更/削除
    • お客さま情報の変更
  • ポイント利用

登録カード情報

  • カード番号
  • 残高
  • カード状態
  • 詳細
  • チャージ
  • ロック
  • 利用履歴照会
  • 暗証番号設定

が可能です。

法人プリペイドカードのメリット

メリットその1.経理作業が軽減される

会社が社員と現金で経費精算、立替などをしてしまうと

  • 立替をする
  • 立替清算の書類を作成する
  • 立替清算の書類を承認する
  • レシート、領収書を管理する
  • データを入力する
  • 小口を管理する

などの経理作業が発生していました。

法人プリペイドカードを利用することで、これらの作業がなくなる、または軽減されるため、大幅な業務効率化が可能になり、人件費のコスト削減につながるのです。

法人プリペイドカードの利用データは、経理ソフトへの自動取込が可能になるため、会計・決算の作業負担も軽減されます。

メリットその2.社員とのお金のトラブルがなくなる

会社が社員と現金で経費精算、立替などをしてしまうと

  • 社員が立て替えた領収書を紛失して請求できなくなる
  • 社員がプライベートで利用した支払いを立替清算してくる
  • 払った、払っていない、などのトラブルに発展する
  • 立替るお金がなくて、二度手間になる

など、無駄なトラブルが起きやすく、会社側も、社員側も、ストレスが発生してしまうのです。

法人プリペイドカードを利用することで、立替などのやりとりがなくなり、お金のトラブルに発展する可能性が低くなるのです。

メリットその3.見える化できる

法人プリペイドカードを利用することで、利用履歴、利用データをすぐに管理者が見ることができます。

「どの法人プリペイドカードが、いつ、どこで、いくら使ったのか?」

が簡単に見える化されるため、無駄なコストや、経費を使いすぎている社員をあぶりだすことができます。

見える化による、経費利用が大きいものや社員に個別対応することで、全体のコスト削減につながります。

法人プリペイドカードの法人カードと比較したときのメリット

メリットその1.審査がない

法人プリペイドカードの最大のメリットは「審査がない」という点に尽きます。

法人カードだと審査があるため

  • 赤字決算の会社
  • 起業間もない会社
  • すでに法人カードを何枚も持っている会社

では、審査が通らないのです。

審査が通らなければ、法人カードも利用できないのですから、法人プリペイドカードでは「審査がなく発行できる」という点が最大のメリットとなります。

メリットその2.限度額の上限が大きい

法人プリペイドカードは「前払い」型の決済カードです。

そのため、基本的には

利用限度額 = チャージ残高

となるのです。

1回あたりのチャージ金額に上限はあるものの

  • 1回:100万円
  • 1カ月:1,000万円

と、高額な利用限度額が設定されているため、経費利用では十分な限度額が設定されています。

法人カードの場合は、審査が通ったとしても、利用履歴(クレジットヒストリー)が貯まるまでは、低い限度額に抑えられてしまうことが多く、会社全体で50万円、100万円という限度額だと、すぐに限度額がいっぱいになって、利用したいときに利用できないデメリットがあります。
法人プリペイドカードであれば、チャージ残高の上限が高額で「限度額の問題で使えない」ということが起きないのです。

持っている法人プリペイドカードのチャージ残高が足りていない場合には、管理者にチャージをリクエストすることで解決できます。チャージリクエスト機能がある法人プリペイドカードもあります。

メリットその3.年会費がない

法人プリペイドカードにも、よりますが、年会費がない法人プリペイドカードが多いです。

年会費がない代わりに

  • 発行手数料
  • 発送手数料
  • チャージ手数料
  • 管理システムの利用料金

などが発生します。

利用の仕方やカードによって、法人カードよりも、コストが安く利用できる可能性があります。

メリットその4.チャージ残高の範囲内しか利用できないので、社員に発行しやすい

法人カードの場合は、一部のカードを除いて

社員に発行する追加カード(子カード)の限度額 = 経営者が持つ法人カード(親カード)の限度額

になってしまうため、社員が高額な利用をしてしまうと、経営者の限度額を減らしてしまい、経営者が利用できなくなってしまう問題が発生します。

また、高額な利用ができる状態にすることで、社員が横領(自分のために高額な支払い)をしてしまうことも起こりうるのです。

法人プリペイドカードの場合は、カードごとにチャージ残高を変更できるため、チャージした金額までしか利用することができません。

悪用防止や他の人の法人プリペイドカードの利用残高への影響をなくすメリットがあります。

法人プリペイドカードの法人カードと比較したときののデメリット

デメリットその1.利用できない支払いがある

例:三井住友カード/ビジネスプリペイド

ご利用できない加盟店について
Visaカードが使える世界中の店舗、インターネットショップの中でも、下記お支払いにご利用いただけません。

■月額・継続契約の利用料金のお支払い
毎月の継続的なお支払いや、自動更新手続き(契約)が発生する加盟店などでご利用いただけません。
公共料金/電話料金/衛星放送・CATV視聴料/インターネットプロバイダー利用料/WiMAXサービス利用料/新聞購読料(電子版含む)/保険料/レンタルサーバ/ウオーターサーバ定額サービス/通信教育/各種月会費など
商品の一部が含まれる場合にもご利用いただけない場合がございます。
■ガソリンスタンドでのお支払い
■高速道路通行料金(有人ブース)でのお支払い
■航空会社の機内販売でのお支払い
■一部ホテルでのお支払い
■各種プリペイド・電子マネーの購入・チャージ代金のお支払い
nanacoクレジットチャージ/楽天Edy/Vプリカ/POINT WALLET Visa PREPAID/Pollet Visa Prepaid/キーゴ/ウェブマネー など
■その他
ご利用先の利用環境や弊社の定めによりご利用いただけない場合がございます。

  • 毎月の引き落としが発生する支払い
  • ガソリンスタンド
  • 高速道路通行料金(有人ブース)
  • 航空会社の機内販売
  • 一部ホテル
  • 別のプリペイドカードや電子マネーへのチャージ

が利用できないのです。

法人カードと比較すると、利用できない加盟店があることが最大のデメリットと言えます。

デメリットその2.法人カードの資金繰りの改善効果はない

法人カードの場合

  • 引き落としタイミング = カードで支払い後、1カ月~2カ月後に登録している銀行口座から引き落とし

法人プリペイドカードの場合

  • 引き落としタイミング = カードにチャージ後、利用したタイミングでチャージ残高から引き落とし
法人プリペイドカードの場合は、先に現金が出ていってしまうため、法人カードと比較すると、資金繰りは悪化してしまうのです。

しかも、法人プリペイドカードでは、チャージした残高の返金対応はできないため、退会時などに残高が使い切れないと、そのまま損をしてしまうのです。

資金効率の面では、おすすめできない決済用カードとなってしまいます。

デメリットその3.発行まで時間がかかる

法人プリペイドカードでは、発行までに2週間~3週間かかるのが一般的です。

例:Bizプリカ

申込手続き後、何日くらいでカードが利用できますか?
2~3週間程度でご利用いただけます。
①申し込み手続き後、弊社での審査を経て、利用開始までの手続きをご連絡します。
ご入会承認メールに記載の「専用口座」に、チャージ原資のお振込みをお願いします。
②カードは、通常、10営業日程度でお届けしております。
お届けの地域や交通事情等により、お時間を要する場合がございます。
③管理サイト上で各種設定(管理者選定、さいふ登録、カードユーザー登録、カードへのチャージ等)を完了することで、利用可能となります。

法人カードの場合は、最短3営業日程度での発行が可能ですので、法人プリペイドカードの方が利用するまでに時間がかかるデメリットがあります。

デメリットその3.残高が不足していると利用できない

法人プリペイドカードでは、基本的に残高不足の場合は、支払が完了しません。

いざ、使おうとしたときに法人プリペイドカードの残高を確認して、不足していたら、支払が完了できませんし、その場で管理者にチャージをリクエストしたとしても、管理者がすぐにチャージしてくれるかもわかりません。

チャージ残高を常に把握しておかないと、いざという時に利用できない可能性があります。

一部の法人プリペイドカードでは、残高不足時の立替サービスを行っています。

例:三井住友カード/ビジネスプリペイド

店舗より確定売上情報のみ、あるいは確定売上情報が利用承認情報より大きい金額の通知があった場合、お持ちのプリペイドカード残高を超えるご利用となり、「残高不足」となる事象がございます。不足金額は弊社が立替払いを行ったうえでお客さまに請求させていただきます。

ご登録のメールアドレスに「残高不足」のご案内メールをお送りいたしますので、不足金額以上の金額を該当カードへチャージいただければ、精算手続きを行います。

デメリットその4.コストが割高になる可能性がある

前述した通りで、法人プリペイドカードでは

年会費がない代わりに

  • 発行手数料
  • 発送手数料
  • チャージ手数料
  • 管理システムの利用料金

などが発生します。

年会費永年無料の法人カード、年会費初年度無料、次年度格安の法人カードも、増えてきている中で、発行手数料やチャージ手数料の方が割高なコストになってしまう可能性もあるのです。

デメリットその5.法人ETCカードは申し込めない

高速道路料金の支払いで利用する法人ETCカードは、法人プリペイドカードでは発行することができません。

例:三井住友カード/ビジネスプリペイド

ビジネスプリペイドでETCカードを申し込むことはできますか?
いいえ、ビジネスプリペイドではETCカードを申し込むことはできません。

  • 法人カード → 法人ETCカード発行:可能
  • 法人プリペイドカード → 法人ETCカード発行:不可
  • 法人デビットカード → 法人ETCカード発行:不可

ですので、法人ETCカードを発行するためには、法人カードである必要があるのです。

結局、法人プリペイドカードと法人カードはどちらを使うべきなの?

基本的には

  • コストが安い(年会費永年無料もある)
  • ポイント還元率(キャッシュバック率)が高い
  • 月額支払いのサービスでも、対応できる

法人カードをおすすめします。

あくまでも、法人プリペイドカードは

  • 法人カードの審査に通らない
  • 法人カードでは限度額が足らない
  • 社員すべての決済用カードを発行したい

というときに利用すべきものなのです。

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状況に応じて、選ぶべき決済用カードが変わってきます。

法人プリペイドカードと法人デビットカードはどちらを使うべきなの?

法人プリペイドカードと法人デビットカードは、非常に似たサービスと言えます。

  • 与信審査がない
  • 月額支払いのサービスに対応していない

という点が同じなのです。

大きな違いは

  • 法人デビットカード → リアルタイムで銀行口座から引き落とし
  • 法人プリペイドカード → 事前にチャージして利用するもの

です。

利便性で言えば、法人デビットカードの方が

  • チャージする手間が不要
  • キャッシュバック率が高い

ため、おすすめです。

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ただし、法人デビットカードは、法人口座の開設をする必要があり、法人デビットカードを発行している法人口座の審査に通る必要があります。法人口座の審査も、年々厳しくなっている状況ですから、法人口座の審査も通らない方は、法人プリペイドカードを利用すべきなのです。

おすすめの法人プリペイドカード

カード会社三井住友カード株式会社
国際ブランドVISA
カードランクプリペイドカード
ポイント還元率/基本0.25%
初年度年会費(税込)0円
2年目~年会費(税込)0円
発行手数料(税込)204円/枚
発送手数料(税込)866円/届け先(500枚まで)
チャージ手数料(税込)204円/回。VJA・オムニカード協会加盟各社発行のVisaカード、Mastercardでのチャージ無料
チャージ方法クレジットカード、インターネットバンキング
カード上限残高100万円/海外・国内
管理上の機能アカウント別の予算管理可能
カード別のチャージ可能
利用通知メール
利用ロック機能
残高合算機能
カード会社TOMOWEL Payment Service株式会社
国際ブランドMastercard
カードランクプリペイドカード
ポイント還元率/基本0.00%
初年度年会費(税込)1,320円/枚
2年目~年会費(税込)1,320円/枚
発行手数料(税込)0円
発送手数料(税込)0円
チャージ手数料(税込)0円
チャージ方法インターネットバンキング
カード上限残高1回あたり200万円
管理上の機能部門別の予算管理可能
カード別のチャージ可能
利用通知メール
利用ロック機能
経費精算サービスや会計ソフトと連携

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