協同組合の法人ETCカードの仕組み・メリットデメリット・注意点

man
「協同組合の法人ETCカードの仕組みはどうなっているのでしょうか?」
「協同組合の法人ETCカードのメリットデメリットを教えてください。」
「協同組合の法人ETCカードを利用する注意点はありますか?」
「おすすめの協同組合の法人ETCカードを教えてください。」

法人でETCカードを発行するときの選択肢は、法人カードに追加カードとして法人ETCカードを発行する方法と、協同組合の法人ETCカードを発行する方法があります。今回は、協同組合の法人ETCカードの仕組み・メリットデメリット・注意点について解説します。

協同組合の法人ETCカードとは?

協同組合の法人ETCカードとは

協同組合が発行する法人向け(個人事業主向け)のETCカードのこと

を言います。

協同組合とは?

共通する目的のために中小企業者が集まり、組合員となって組織運営を行う相互扶助の組織のこと

を言います。

日本の協同組合には、様々なものがありますが

  • 生協
  • 農協(JA)
  • 商工組合

などが、代表的な協同組合と言えます。

法人ETCカードを発行している組合は

  • 高速情報協同組合
  • ETC協同組合

の組合です。

ETC協同組合

車に関する共同購買・共同利用を通じて、経営の効率化を目指す協同組合
設立

不明

組合加入条件
  • 組合員は「中小企業等協同組合」に定める中小企業
  • 一口1万円以上の出資金を拠出(退会時に返金)
組合員の特典
  • 組合員の必要とする自動車用燃料・資材、事務機器及び情報通信機器等の共同購買
  • 組合員の事業に関する経営及び技術の改善向上又は組合事業に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
  • 組合員の福利厚生に関する事業
  • ETC制度の共同利用事業

高速情報協同組合

車に関する共同購買・共同利用を通じて、経営の効率化を目指す協同組合
設立

1993年

組合加入条件
  • 組合員は「中小企業等協同組合」に定める中小企業
  • 一口1万円以上の出資金を拠出(退会時に返金)
組合員の特典
  • 組合員の必要とする自動車燃料・資材、事務機器及び情報通信機器等の共同購買
  • 組合員のためにする通話料団体割引制度の共同精算事業
  • 組合員の事業に関する経営及び技術の改善向上又は組合事業に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供
  • 組合員の福利厚生に関する事業
  • 東・中・西日本高速道路株式会社、高速道路通行料ETCコーポレート制度の共同精算事業。
  • セディナETC制度の共同精算事業

どちらも、車関係の共同購入、共同利用を相互扶助の仕組みで行う協同組合であり、メインの事業が「法人ETCカード」「法人ガソリンカード」となっているのです。

つまり、協同組合の法人ETCカードとは

法人ETCカードを必要とする組合員が集まって組織となり、クレジットカード会社と提携し、法人ETCカードを発行し、共同利用するもの

を意味するのです。

teacher
1社、2社がクレジットカード会社と交渉しても、独自の法人ETCカードを発行することはできませんが、100社、1,000社が共同で組織として、クレジットカード会社と交渉することによって、独自の法人ETCカードを発行することができているのです。

協同組合の法人ETCカードの仕組み

発行するカード会社

  • UCカード
  • セディナ

発行条件

  • 組合員に対して発行 = 1社10,000円の出資金が必要(退会時返金)

必要な費用・手数料

  • 出資金:10,000円
  • カード発行手数料:550円/枚
  • 取扱手数料(年会費):550円/枚
  • 走行手数料:ETC料金の5%

※組合によって、法人ETCカードの種類によって若干前後します。

車両限定

車両限定なし。どの車でも利用可能

発行スピード

申込書類の提出後、10日程度

支払い方法

口座振替

  • 月末締め翌月20日頃に請求書発行
  • 翌々月5日に口座振替

協同組合の法人ETCカードのメリット

メリット1.審査がない

協同組合の法人ETCカードには、審査がありません。

法人カードに追加カードとして「ETCカード」を発行する場合には、法人カードの審査が発生します。法人カードにはクレジット機能があり、クレジットカード会社が立替をすることになります。

法人ETCカードで利用したETC料金も、クレジットカード会社が一時的に立て替えをすることになるため、「支払い能力の審査」が必要になるのです。

  • 起業間もない会社
  • 赤字の会社
  • 経営者の収入がほとんどない会社

などは、法人カード審査で落ちてしまう可能性が高いのです。法人カードの審査に落ちてしまえば、追加カードである法人ETCカードも作れないのです。

協同組合の法人ETCカードには「クレジットカード会社が立替をする機能」はありません。

支払い方法が「請求書による口座振替」ですので、後払いになり、共同組合が立て替えることになるのですが、会社が支払いできない状態になったときの保険として「出資金」を1万円徴収しているため、貸し倒れリスクは、ここでカバーできるのです。

貸し倒れリスクを出資金でカバーできるので「審査」の必要がないのです。

クレジットカード会社が発行する法人ETCカードの審査に通らない、法人カード審査に落ちてしまう方でも、作れるのが「協同組合の法人ETCカード」の最大のメリットと言えます。

メリット2.枚数制限がない

クレジットカード会社が発行する法人ETCカードの場合は

  • 追加カード1枚につき1枚の法人ETCカードしか発行できない
  • 親カード1枚につき発行できる法人ETCカードの枚数が決まっている

というものが少なくありません。

10枚、50枚、100枚と枚数が増えていくほど、法人カードの選択肢は狭まってしまうのです。

協同組合の法人ETCカードに関しては

枚数は無制限です。

10枚、50枚、100枚、1,000枚でも、発行できるため、発行上限を気にせず、多くの法人ETCカードを利用する社員に渡すことが可能になります。

メリット3.請求書が発行される

協同組合の法人ETCカードは、利用した金額の請求書が毎月送られてきて、その金額分、口座から口座振替で引き落とされる支払方法となっています。

クレジットカード会社の法人ETCカードは、利用明細は出るものの、請求書は発行されません。

請求書があった方が経費精算などの処理はしやすいメリットがあります。

メリット4.利用限度額がない

クレジットカード会社の法人ETCカードは、法人カードに紐づいて発行されるため、法人カードの限度額までしか利用することができません。

ETCレーンを通過するときに限度額を超えていても、ETC料金は利用できるため、ETCレーンの通過に支障はありません。

しかし、通常の経費支払い、出張旅費、接待交際費、PCや周辺機器の購入などに法人カードを利用している場合、あまりにも法人ETCカードの利用額が大きいと、親カードの通常の経費利用ができなくなるデメリットがあるのです。

とくに、法人ETCカードを10枚、20枚と多く発行する場合には、限度額が小さい法人カードだと、他の経費支払いに利用できなくなる可能性が出てくるのです。

協同組合の法人ETCカードのデメリット

デメリット1.かなりのコスト高になる

クレジットカード会社の法人ETCカードの場合は、かなり低コストで発行することができます。

NTTファイナンス Bizカード レギュラー
  • 親カード年会費(税込):永年無料
  • ETCカード年会費(税込):550円
  • 出資金:なし
  • カード発行手数料:なし
  • 走行手数料:なし
  • 法人ETCカード発行可能枚数:無制限
ライフカードビジネスライトプラス(スタンダード)/一般カード
  • 親カード年会費(税込):永年無料
  • ETCカード年会費(税込):永年無料
  • 出資金:なし
  • カード発行手数料:なし
  • 走行手数料:なし
  • 法人ETCカード発行可能枚数:無制限
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード
  • 親カード年会費(税込):永年無料
  • ETCカード年会費(税込):永年無料
  • 出資金:なし
  • カード発行手数料:なし
  • 走行手数料:なし
  • 法人ETCカード発行可能枚数:最大4枚
三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック)
  • 親カード年会費(税込):1,375円
  • ETCカード年会費(税込):初年度無料、次年度550円。年一回利用で翌年無料
  • 出資金:なし
  • カード発行手数料:なし
  • 走行手数料:なし
  • 法人ETCカード発行可能枚数:無制限
JCB一般法人カード
  • 親カード年会費(税込):1,375円
  • ETCカード年会費(税込):永年無料
  • 出資金:なし
  • カード発行手数料:なし
  • 走行手数料:なし
  • 法人ETCカード発行可能枚数:無制限

しかし、協同組合の法人ETCカードの場合は

  • 出資金:10,000円
  • カード発行手数料:550円/枚
  • 取扱手数料(年会費):550円/枚
  • 走行手数料:ETC料金の5%

が発生します。

とくにコスト負担が重いのは「走行手数料」です。

仮に、毎月10,000円分のETC料金を支払う社用車を5台利用したとしたら
  • 出資金:10,000円
  • カード発行手数料:550円 × 5枚 = 2,750円
  • 取扱手数料(年会費):550円 × 5枚 = 2,750円
  • 走行手数料:月10,000円 × 12カ月 × 5台 × 5% = 30,000円

年間コスト合計:45,500円

かかります。

これが三井住友ビジネスカード for Owners(クラシック)の場合は

  • 親カード年会費(税込):1,375円
  • ETCカード年会費(税込):初年度無料、次年度550円。年一回利用で翌年無料
  • 出資金:なし
  • カード発行手数料:なし
  • 走行手数料:なし
  • 法人ETCカード発行可能枚数:無制限

ですから、

年間コスト合計:1,375円

で済むのです。

コスト負担という意味では、協同組合の法人ETCカードはかなり高額な設定になってしまうので注意が必要です。コスト負担の多さが最大のデメリットと言えます。

デメリット2.発行に時間がかかる

協同組合の法人ETCカードは

  • ウェブサイトから申込
  • カード申込書が郵送で送付される
  • 申込書の返送、必要書類の返送
  • 出資金の入金
  • 法人ETCカードの発行・郵送

という手順で、法人ETCカードが利用できる状態になります。

  • 申込書の返送、必要書類の返送
  • 出資金の入金

が確認できてから、10日程度発行にかかるため、実際にウェブサイトから申し込んで、法人ETCカードを受け取るまでには3週間程度時間がかかってしまう計算になります。

クレジットカード会社の法人ETCカードの場合は、早ければ、3日~1週間で発行できるため、すぐに利用できるのは、クレジットカード会社の法人ETCカードとなります。

デメリット3.申込に車検証やETC車載器セットアップ証明書が必要

協同組合の法人ETCカードの発行に必要な書類は

  • 登記簿謄本
  • 確定申告書(個人事業主の場合)
  • 車検証
  • ETC車載器セットアップ証明書

が必要になります。

クレジットカード会社の法人ETCカードの発行に必要な書類は

  • 本人確認書類

です。

※法人カードによっては、登記簿謄本が必要なカードもあります。

協同組合の法人ETCカードでは、必要書類の用意や準備に手間がかかるデメリットがあります。

協同組合の法人ETCカードに関するよくある質問

Q.なぜ、出資金が必要なの?

クレジットカード会社の法人ETCカードのように「審査」をするノウハウがないため、貸し倒れリスクを避けるためには、デポジット(出資金・保証金)を入会時に受け取っておいて、もしETC料金の支払いがなければ、その保証金を返済に充てることで、貸し倒れリスクを回避しているのです。

また、協同組合は、組合員が参加する相互扶助の組織です。組合員として、組合に参加しているという保証の意味でも、「出資金」が必要となるのです。

法人ETCカードの「出資金」は、組合の退会時に返金されます。

Q.なぜ、走行手数料が必要なの?

走行手数料は、ETC料金の利用に伴い発生する手数料です。

この手数料分が、組合の収入となり

  • 請求書作成費用
  • 信販会社(セディナ、UCカード)の立て替え保証費用

となるのです。

Q.ETCマイレージを受け取ることはできるの?

協同組合の法人ETCカードは

  • ETCマイレージサービスの登録可能
  • ETCマイレージサービスの登録不可

のどちらのタイプもあります。

法人ETCカードのマイレージとは?

ETCマイレージサービスを利用したい方は、ETCマイレージサービスの登録可能な協同組合の法人ETCカードを選ぶ必要があります。

法人ETCカード比較はこちら

おすすめの法人カード・法人クレジットカードはこちら
100枚超えの法人カードを徹底比較