会社をつくったあと、法人カードの申込書に書く「取引銀行」と引き落とし口座が決まらないと先へ進めません。そこで出てくるのが「どの銀行なら法人口座を作りやすいのか」という問いです。
審査の通りやすさを銀行が公表することはありません。ただし申し込みから開設までの目安日数、オンラインで完結するかどうか、口座と同時に契約させられるサービスがあるかどうかは、各行が自分のサイトに書いています。2026年10月15日に7行の公式ページを開き、公表されている条件だけを並べ直しました。
いちばん差が出るのは日数です。三菱UFJ銀行は公式に「法人口座開設の申し込み登録から口座開設まで、1ヵ月〜1ヵ月半を頂戴しております」と書いています。いっぽう三井住友銀行の「Trunk」は口座開設が最短即日、申込はスマホで最短20分。みずほ銀行も最短即日で来店不要です。
次に差が出るのが同時申込の有無です。三菱UFJ銀行は普通預金口座の申し込みにあたって、MUFG Biz(無料)、BizSTATION(月額1,760円・税込、最初の3ヵ月は無料)、三菱UFJ-VISAビジネスデビット(年会費無料)の3つを同時に申し込むことが必要と明記しています。
ネット銀行では、GMOあおぞらネット銀行が最短即日。条件は取引責任者の本人確認をマイナンバーカード読取かセルフィー動画で行うことです。
楽天銀行は申込こそWebですが、印鑑証明書と履歴事項全部証明書の原本を郵送する必要があります。書類が180日以内に届かないと申し込みは取り消されます。
PayPay銀行は原則1法人1口座。店舗別・事業別などの特別な事情がある場合に限り、1法人20口座まで追加で開設できます。
日数の差がいちばん大きい。1ヵ月半と即日が同じ土俵に並ぶ
まず、公式に日数を書いている銀行だけを抜き出します。書いていない銀行は「記載なし」としました。推測で埋めると、いちばん知りたいところで間違えます。
| 銀行 | 公表されている日数 | 申込の形 | 来店 |
|---|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 1ヵ月〜1ヵ月半 | WEB申込+書類アップロード+WEB面談 | 不要(WEB面談あり) |
| 三井住友銀行(Trunk) | 最短即日 | オンライン完結。申込はスマホで最短20分 | 不要 |
| みずほ銀行 | 最短即日 | 法人口座開設ネット受付。24時間365日申込可、ウェブ面談 | 不要 |
| GMOあおぞらネット銀行 | 最短即日 | PC・スマートフォンから申込 | 不要 |
| PayPay銀行 | 記載を確認できず | Web申込+書類アップロード | 不要 |
| 楽天銀行 | 記載を確認できず | Web申込+必要書類を郵送 | 不要(郵送あり) |
| ゆうちょ銀行 | 当該ページに記載なし | 窓口。貯金事務センターで審査し、後日結果を連絡 | 必要 |

三菱UFJ銀行の「1ヵ月〜1ヵ月半」は、遅いという話ではなく設計が違うと読むほうが正確です。WEB面談があり、書類の受け取りと返送が工程に入っています。逆に言えば、法人カードの引き落とし口座を急いでそろえたい場面には向きません。

同時に契約させられるサービスがあるかどうか
日数の次に効いてくるのが、口座だけ作らせてもらえるかどうかです。ここはメガバンクで扱いが分かれます。
| 銀行 | 同時申込 | 内容と料金 |
|---|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 必要 | MUFG Biz(無料)/BizSTATION 月額1,760円・税込(最初の3ヵ月は無料)/三菱UFJ-VISAビジネスデビット(年会費無料)の3つ |
| みずほ銀行 | プランの選択 | UPSIDER BANKプランとセットのサービス群が案内される。登記事項証明書・印鑑証明書の提出は原則不要、通帳・キャッシュカードの初回発行手数料は無料 |
| 三井住友銀行(Trunk) | 確認できず | 初期契約料・月額利用料0円と表示。同時契約の必須条件はページ上に見当たらなかった |
| GMOあおぞらネット銀行 | 確認できず | 口座開設の条件として提示されているのは本人確認方法のみ |
| PayPay銀行 | 確認できず | 追加口座のページでは口座数の上限のみが条件として示されている |
三菱UFJ銀行のBizSTATION月額1,760円は、最初の3ヵ月が無料でも4ヵ月目から年間21,120円(税込)の固定費になります。インターネットバンキングを使うつもりなら妥当な費用ですが、「口座だけ作って様子を見たい」という使い方はできない、という意味でもあります。
「作りやすさ」は審査の緩さではありません。どの銀行も犯罪収益移転防止法に基づく確認と審査を行っており、その基準は公表されていません。ゆうちょ銀行は公式ページで、犯罪収益移転防止法等で求められる事項に加え、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与を防止するため、公的書類等による確認と審査を実施していると明記しています。
ここで比べているのは手続きの重さです。来店が要るか、原本の郵送が要るか、同時契約が要るか、目安日数が公表されているか。これらは申込前に読み取れます。
ネット銀行は「本人確認の方法」で速さが決まる
GMOあおぞらネット銀行は、最短即日の条件をはっきり書いています。取引責任者の本人確認を「マイナンバーカード読取」または「セルフィー動画で提出」のどちらかで行うことです。セルフィー動画の場合に使える書類は、運転免許証、運転経歴証明書、マイナンバーカード、在留カード、特別永住者証明書のいずれか1点とされています。

この条件は、ほかの銀行にも共通する考え方です。オンラインで本人確認を完結できる書類を持っているかどうかが、速さを分けます。マイナンバーカードを持っていない代表者が申し込むと、どの銀行でも郵送や面談の工程が増えます。
楽天銀行は、この点ではっきり別系統です。申込画面に登記情報・連絡先情報・口座管理者情報を入力したうえで、印鑑証明書(原本、取得から3か月以内)と履歴事項全部証明書(原本、取得から6ヵ月以内)などを郵送します。公式には「口座開設申込から180日以内に当行に書類の到着がない場合は、お申込を取消させていただきます」とあります。
口座の数にも制限がある。PayPay銀行は原則1法人1口座
見落とされがちなのが、1つの法人がいくつ口座を持てるかです。PayPay銀行は公式に「法人口座は、原則1法人につき1口座のみとなります」と書いています。

ただし例外も明記されています。店舗別・事業別・取引先別・支払用途別・販売経路別・決済方法別に管理するなどの特別な事情がある場合に限り、ログイン後の画面から1法人20口座まで追加で開設できます。追加口座にも審査があり、断られる場合があるとも書かれています。個人事業主は1個人につき1口座(個人口座とは別に1口座)です。
法人カードの引き落とし口座として見るとどうなるか
法人カードの申込では、引き落とし口座として法人名義の口座を求められるのが普通です。そのため、カードを急いで発行したい場合は口座の開設日数がそのままカードの発行日数に上乗せされます。
口座開設が最短即日と公表されている三井住友銀行Trunk、みずほ銀行、GMOあおぞらネット銀行が候補になります。
本人確認をオンラインで終えられる書類(マイナンバーカードなど)を先に用意してください。
取引先の指定でメガバンクが要る場合、三菱UFJ銀行は1ヵ月〜1ヵ月半を見込みます。
同時申込のBizSTATIONは月額1,760円(最初の3ヵ月無料)です。先に費用を把握しておきます。
PayPay銀行は原則1法人1口座ですが、特別な事情があれば20口座まで追加できます。
口座名義は法人名+屋号や事業部名の形にできます。屋号のみは不可です。
法人口座を最短で開くための順番
- 代表者のマイナンバーカードを用意する
オンラインの本人確認に使える書類があるかどうかで、即日と郵送が分かれます。 - 履歴事項全部証明書と印鑑証明書を取る
楽天銀行は原本の郵送が要ります。取得から3か月以内・6ヵ月以内といった有効期限があります。 - 同時申込の条件を先に読む
三菱UFJ銀行はMUFG Biz・BizSTATION・ビジネスデビットの3つが必須です。月額費用を納得してから進みます。 - 事業の実態が分かる資料をまとめる
ゆうちょ銀行は許認可証、決算関係書類、会社案内や取扱商品のパンフレット、契約書・請求書などを求めています。設立後6か月以内なら法人設立届出書の控えなども対象です。 - 口座が開いてから法人カードを申し込む
引き落とし口座が決まらないとカードの申込が完了しません。口座の日数をカードの発行日数に足して逆算します。
法人口座の作りやすさについてよくある質問
いちばん早く法人口座を作れる銀行はどこですか
公表されている目安でいえば、三井住友銀行のTrunk、みずほ銀行、GMOあおぞらネット銀行の3つが「最短即日」と書いています。三井住友銀行は加えて「お申込はスマホで最短20分」と掲げています。ただし最短は条件を満たした場合の値で、審査の状況により時間がかかる場合があるとどの行も注記しています。
審査がゆるい銀行はありますか
審査基準を公表している銀行はありません。ゆうちょ銀行は、犯罪収益移転防止法等で求められる事項に加え、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与を防止するために公的書類等による確認と審査を実施していると書いています。比べられるのは手続きの重さであって、通りやすさではありません。
三菱UFJ銀行はなぜ1ヵ月以上かかるのですか
公式ページに記載されているのは所要期間と工程だけで、理由は書かれていません。流れは申し込み登録、口座申込情報入力と必要書類アップロード、取引担当者とのWEB面談、書類の受け取りと返送、開設完了の5段階です。書類の往復と面談が工程に入っている点が、オンライン完結型との違いになります。
口座開設と同時に有料サービスを契約させられますか
三菱UFJ銀行は、法人普通預金口座開設の申し込みにあたって、MUFG Biz(無料)、BizSTATION(月額1,760円・税込、最初の3ヵ月は無料)、三菱UFJ-VISAビジネスデビット(年会費無料)の3つを同時に申し込むことが必要と明記しています。三井住友銀行のTrunkは初期契約料・月額利用料0円と表示しており、同時契約の必須条件はページ上に見当たりませんでした。
1つの法人で複数の口座は作れますか
銀行によります。PayPay銀行は原則1法人1口座で、店舗別・事業別・取引先別・支払用途別・販売経路別・決済方法別に管理するなどの特別な事情がある場合に限り、1法人20口座まで追加できます。追加口座にも審査があります。
郵送が要る銀行はどこですか
楽天銀行は、申込はWebですが、印鑑証明書(原本、取得から3か月以内)と履歴事項全部証明書(原本、取得から6ヵ月以内)などの書類を郵送する必要があります。申込から180日以内に書類が届かないと申し込みが取り消されます。三菱UFJ銀行も書類の受け取りと返送が工程に入っており、提出した履歴事項全部証明書と法人の印鑑証明書の原本は返却されないと注記されています。
法人カードを申し込む前に口座が要りますか
法人カードは引き落とし口座の登録が必要なため、先に法人口座を用意するのが一般的です。口座の開設日数がカードの発行日数に上乗せされるので、使い始めたい日から逆算して、口座とカードの両方の所要日数を足して考えてください。
この記事で確認した一次情報(いずれも2026年10月15日に取得)
銀行ごとの詳細は、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、GMOあおぞらネット銀行、PayPay銀行、ゆうちょ銀行の記事で個別に整理しています。必要書類の共通部分は法人口座の開設に必要な書類にまとめました。










