法人カードで貯めたポイントの会計処理・仕訳の方法

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「法人カードで貯めたポイントはどうやって会計処理すれば良いの?」
「法人カードで貯めたポイントの会計処理の方法を教えてください。」
「法人カードで貯めたポイントは、計上する必要はあるの?」
「法人カードで貯めたマイルは、計上する必要はあるの?」

法人カードで貯めたポイントやマイレージ(マイル)は、どのように会計処理し、仕訳をするべきものなのでしょうか?今回は、法人カードで貯めたポイントの会計処理・仕訳の方法について解説します。

法人カードで貯めたポイントの会計処理・仕訳の法的ルール

法人・個人事業主がポイントを発行・使用する場合の会計処理

前提条件

  • 加盟店A社は、B社が発行する法人カードのポイントプログラムに加盟
  • B社が運営する法人カードのポイントプログラム(ポイント還元率:1.0% 100円 = 1円分のポイント付与)
  • 加盟店は、ポイント使用分の金銭をB社から受領
  • ポイント使用分にはポイントが付与されない
  • 消費税率:10%
  • 法人カード会員C社が加盟店A社で買い物をする

ポイント付与時の会計処理

売手(加盟店A)

借方(左側)

  • 現金 11,000
  • ポイント費用 110

貸方(右側)

  • 売上 10,000
  • 仮受消費税 1,000
  • 未払金 110
買い手(法人カード会員C社)

借方(左側)

  • 仕入れ 10,000
  • 仮払消費税 1,000

貸方(右側)

  • 現金 11,000

カード会社B社へのポイント分支払時の会計処理

加盟店A社が会員に付与した110ポイント分(110円分)をカード会社B社へ支払い

売手(加盟店A)

借方(左側)

  • 未払金 110

貸方(右側)

  • 現金 110

ポイント使用時の会計処理

加盟店A社が220円の商品を販売し、法人カード会員C社が110ポイントを使って購入

売手(加盟店A)

借方(左側)

  • 現金 110
  • 未収金 110

貸方(右側)

  • 売上 200
  • 仮受消費税 20
買い手(法人カード会員C社)

借方(左側)

  • 消耗品 200
  • 仮払消費税 20

貸方(右側)

  • 現金 110
  • 雑収入 110

カード会社B社からのポイント分受領時の会計処理

カード会社B社が会員が使用した110ポイント分(110円分)を加盟店A社へ支払い

売手(加盟店A)

借方(左側)

  • 現金 110

貸方(右側)

  • 未収金 110

法人、個人事業主がポイントを使用した場合の会計処理・仕分けルール

つまり、法人カードを使う側のカード会員にとってみれば

ポイントが付与された時 → 計上しない
ポイントを使用した時 → 雑収入として計上する or 値引きとして計上する

という方法を取ることになります。

ポイントを使用したときの会計処理の方法には2つあります。

  1. 値引き処理 : ポイント使用後の支払い金額を経費算入する処理
  2. 両建て処理 : ポイントしよう前の支払い金額を経費算入して、ポイント使用額を雑収入に計上する処理

の2つです。

例:国税庁ウェブサイト

事業者が商品購入時にポイントを使用した場合の消費税の仕入税額控除の考え方

事業者が商品を購入した際、その取引(課税仕入れ)について仕入税額控除を行うこととなりますが、商品購入時にポイントを使用した場合、消費税の「課税仕入れに係る支払対価の額」は、

①ポイント使用が「対価の値引き」である場合には、商品対価の合計額からポイント使用相当分の金額を差し引いた金額(値引後の金額)
②ポイント使用が「対価の値引きでない」場合には、商品対価の合計額(全額)

となります。

なお、商品購入時に発行されるレシートには、ポイント使用の態様に応じて「課税仕入れに係る支払対価の額」が表示されていると考えられますので、商品を購入した事業者においては、レシートの表記から「課税仕入れに係る支払対価の額」を判断して差し支えありません。

値引き処理

下記のようなレシートのときに利用

レシート
○○ストア

お茶 1点 550 550円
ポイント値引 ▲50円
10%タイショウ 500円
(内消費税 45円)
合計 500円

現金支払 500円

借方(左側)

  • 消耗品費 500

貸方(右側)

  • 現金 500

両建て処理

下記のようなレシートのときに利用

レシート
○○ストア

お茶 1点 550 550円

合計 550円

10%タイショウ 500円
(内消費税 50円)

ポイント支払 ▲50円

現金支払 500円

借方(左側)

  • 消耗品費 550

貸方(右側)

  • 現金 500
  • 雑収入 50
基本的にはレシートによって判断することになります。
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ただし、厳密にはどちらかの処理方法に統一して、会計処理をしている企業が多いようです。すべてのレシートをチェックしながら、「値引き処理か?両建て処理か?」を判断して計上するのは、実務上大きな負担となってしまいます。

会計士や税理士の方針にもよりますが、どちらかの処理方法に統一して、会計処理をしても、大きな問題になる可能性はほとんどありません。心配な方は、顧問会計士、顧問税理士に処理の方針を聞いてみると良いでしょう。

まとめ

法人カードで貯めたポイントの会計処理は

  • ポイントが付与された時 → 計上しない
  • ポイントを使用した時 → 「値引き」として計上する or 「雑収入」として計上する

ということになります。

法人カードで貯めたポイントの会計処理・仕訳に関するよくある質問

法人カードのポイントをAmazonギフト券に交換した場合はどうなるの?

現金でAmazonギフト券10,000円分を購入した場合

借方(左側)

  • 他社商品券 10,000

貸方(右側)

  • 現金 10,000

となります。

この現金が法人カードのポイントに変わったのですから、前述した通りで

法人カードのポイント(1ポイント=1円分)でAmazonギフト券に交換した場合

値引き処理

借方(左側)

  • 他社商品券 0

貸方(右側)

  • 現金 0
両建て処理

借方(左側)

  • 他社商品券 10,000

貸方(右側)

  • 現金 0
  • 雑収入 10,000

となります。

「値引き処理」で0円での計上は、おかしいため、この場合では「両建て処理」によって、雑収入で計上することが適切と考えられます。

10,000円分の法人カードのポイントを収入として、その雑収入で商品券を購入した形となるのです。

法人カードのポイントは、交換先によって金銭価値が変わるのですが、どう処理すれば良いでしょうか?

法人カードのポイントというのは、交換するアイテムや商品によって金銭価値が異なるものです。

A店での買い物 1ポイント = 2円分
B店での買い物 1ポイント = 1円分
C店での買い物 1ポイント = 0.5円分

という形です。

法人カードのポイントの会計処理では、ポイント付与時に計上するのではなく、ポイント使用時に計上するため、ポイント使用時に「何円分の割引になったのか?」をベースに計上すれば良いだけですので、ポイントの価値が利用する店舗や交換するものによって異なる問題は、使用ベースで考えることで解決できるのです。

ポイントではなく、マイル(マイレージ)の会計処理、仕訳はどうすれば良いでしょうか?

マイレージ(マイル)も、航空会社のポイントプログラムですから、ポイントと同じように仕分けることが可能です。

法人カードで貯めたマイレージ(マイル)の会計処理は

  • マイレージ(マイル)が付与された時 → 計上しない
  • マイレージ(マイル)を使用した時 → 「値引き」として計上する or 「雑収入」として計上する

ということになります。

マイレージ(マイル)は

  • ポイントと同じように商品の購入やギフト券への交換に使える
  • 特典航空券(航空会社の無料の航空券)への交換に使える

という選択肢があります。

前者であれば、ポイントと同じようにマイレージ(マイル)がいくら分の値引きになったのか?で割引き処理、両建て処理を行うエバ良いのですが、無料の特定航空券と交換するときはどうすれば良いでしょうか?

ここで難しいのは「無料の特定航空券がいくらなのか?わかりにくい」という点です。金額が不明になってしまうため、どう計上すれば良いのか?わからなくなってしまうのです。

一つの方法としては

「両建て処理」で、同時期の同区間の航空会社の販売する航空券の料金を基に、その分を雑収入として計上する方法です。

もう一つは「割引き処理」なのですが、こちらは借方も、貸方も、0円になってしまうため、計上する必要がなくなってしまいます。マイレージ(マイル)で無料の特典航空券に交換した場合の経費計上では、明確な方法論は国税庁からも提示されていないため、顧問会計士、顧問税理士に相談の上、対応を選択すると良いでしょう。

ポイントではなく、法人カード利用額に応じてキャッシュバックされた時は、どう仕訳すれば良いでしょうか?

基本的にはポイントと同様に処理します。

ただし、法人カードのキャッシュバックは「即時の値引き」ではなく、後日カード利用額からキャッシュバックが差し引かれて請求されるものが多いため、「値引き処理」は適切ではありません。キャッシュバック分を雑収入として計上する「両建て処理」が適しています。

クレジットカードでの利用額50万円分に対して、5,000円分がキャッシュバックされた場合

両建て処理

銀行口座からの引き落とし時

借方(左側)

  • 未払金 500,000

貸方(右側)

  • 普通預金 495,000
  • 雑収入 5,000

となります。

キャッシュバックのタイミングによって、仕訳の方法も変わってしまいますが、基本的に「キャッシュバック = 雑収入として計上」と考えておけば良いでしょう。

法人や個人事業主ではなく、個人がプライベートの支払いでポイントを使用したときはどうすれば良いでしょうか?

確定申告なおで計上する必要はありません。

個人の場合は、ポイントの付与は値引きと同等の行為が行われたものと考えられるため、原則として「課税対象となる経済的利益には該当しないもの」として扱われます。
個人 → 計上する必要がない
法人・個人事業主 → 雑収入・値引きとして計上する必要がある

という違いがあるのです。

ただし、ポイントを使用して医薬品などの購入をした場合には、所得控除の対象からポイント利用分を控除しなければならないため注意が必要です。

法人カードで貯めたポイントを代表者個人が利用した場合の会計処理

前述した通りで

  • 法人カードのポイントは付与された時には計上しない
  • 法人カードのポイントを使用したときに計上する
  • 個人がポイントを使用したときは、計上する必要がない

という現行のルールがあります。

法人カードで貯めたポイントを代表者個人が利用した場合は、上記のルールに当てはめれば、決算書にも、確定申告書にも、計上する必要がないことになってしまいます。

実際にこの考え方で良いのでしょうか?

現時点では

  • 国税庁は上記のケースでも明確な取り扱いを決めていない
  • 上記のケースで脱税などで摘発された事例はない

ことから、

あくまでも「現時点で」という但し書きつきですが

法人カードで貯めたポイントを代表者個人が利用する分には、会計処理も、仕訳も、税金も、発生しないと考えて良いでしょう。

法人カードで貯めたポイントで、自宅で使う家電製品を買ってもよいし
法人カードで貯めたポイントで、個人で使う電子マネーに交換してもよいし
法人カードで貯めたマイルで、海外への家族旅行に行ってもよいし

ということになるのです。

ポイントが貯まりやすい法人カードはこちらです。

ただし、ポイントやキャッシュレス決済が一般化してきた現代社会では、上記の考え方がいつまでも認められるかは不透明です。そのうち、国税庁が明確な見解を打ち出すと思われます。

不安な方は、顧問会計士、顧問税理士に相談することをおすすめします。

まとめ

法人カードで貯めたポイントの会計処理の方法は

  • ポイントが付与されたタイミング → 計上しない
  • ポイントを使用したタイミング → 計上する

という考え方になります。

計上の方法には

  • 割引として処理する「割引き処理」
  • 雑収入として処理する「両建て処理」

があり、基本的にはレシートの内容を見ながら、どちらで処理するのか決めるのが正しい考え方です。ただし、運用ベースでは、どちらかに一本化した方が処理がしやすいため、その方法でも、問題ないというのが現状です。

ポイント以外のマイル(マイレージ)、キャッシュバックも、上記の考え方と同様に処理すれば問題ありません。

また、法人カードで貯めたポイントを代表者個人がプライベートの支払いに利用することも、現時点では、国税庁に指摘されたような事例はありません。

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どちらにしろ、ポイントやマイル、キャッシュバックの処理というのは、明確なルールがなく、会計士や税理士によっても処理方法は異なるものですので、まずは顧問会計士、顧問税理士に相談することをおすすめします。

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