法人ETCカードを必要としていても、法人カード審査に通らない方の場合は、審査のない「クレジット機能なし法人ETCカード」が選択肢になります。今回は、クレジット機能なし法人ETCカードを選ぶポイントを踏まえて、おすすめ順にランキング形式で紹介します。
クレジット機能なし法人ETCカードを選ぶポイント
ポイントその1.コストで選ぶ
クレジット機能なし法人ETCカードには
- 出資金
- カード発行手数料
- 年間手数料(取扱手数料)
- 事務手数料
という費用が発生します。
コストの相場は
- 出資金:10,000円/社
- カード発行手数料:550円~880円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):550円~880円/枚
- 事務手数料:走行金額の5~8%
となっています。
クレジット機能なし法人ETCカードのコスト比較
クレジット機能なし法人ETCカードは
- 高速情報協同組合が発行するもの
- ETC協同組合が発行するもの
があります。
高速情報協同組合が発行する法人ETCカード
法人ETCカード(UCカード)
- 出資金:10,000円/社
- カード発行手数料:550円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):550円/枚
- 事務手数料:走行金額の5%
車両:限定なし
サービス:マイレージ不可
法人ETCカード(セディナカード)
- 出資金:10,000円/社
- カード発行手数料:550円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):550円/枚
- 事務手数料:走行金額の8%
車両:限定なし
サービス:マイレージ可
ETCコーポレートカード(東/中/西日本高速道路株式会社が発行)
- 出資金:10,000円/社
- カード発行手数料:629円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):629円/枚
- 事務手数料:-
車両:限定
サービス:マイレージ不可
割引:首都・阪神高速道路の大口・多頻度割引制度
保証:支払保証が必要
ETC協同組合が発行する法人ETCカード
法人ETCカード(マイレージなし)
- 出資金:10,000円/社
- カード発行手数料:880円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):880円/枚
- 事務手数料:走行金額の5%
車両:限定なし
サービス:マイレージ不可
法人ETCカード(マイレージあり)
- 出資金:100,000円/社
- カード発行手数料:880円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):880円/枚
- 事務手数料:走行金額の8%
車両:限定なし
サービス:マイレージ可
コストで重要になるのは「事務手数料」です。
事務手数料とは
を言います。
走行金額の5%~8%ですから
- 月1万円のETC料金の支払いが発生 = 月500円~800円の負担
- 月5万円のETC料金の支払いが発生 = 月2,500円~4,000円の負担
- 月10万円のETC料金の支払いが発生 = 月5,000円~8,000円の負担
と、年会費や発行手数料と比較して、永続的に発生してしまうため、かなり高額な負担になってしまう特徴があります。
しかも、これは台数分発生するものですので、ETC料金を使えば使うほど、事務手数料は割高になるのです。
ポイントその2.マイレージや割引で選ぶ
基本的に
これはどの法人ETCカードも同じです。
一点違う点があるとすれば、
東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社及び西日本高速道路株式会社が発行する「ETCコーポレートカード」です。
ETCコーポレートカードは「高速国道の大口・多頻度割引」が利用できます。
高速国道の大口・多頻度割引
車両単位割引
- 自動車1台ごとの1カ月の高速・国道の利用額:5,001円~10,000円 = 10%割引
- 自動車1台ごとの1カ月の高速・国道の利用額:10,001円~30,000円 = 20%割引
- 自動車1台ごとの1カ月の高速・国道の利用額:30,001円~ = 30%割引
さらにETC2.0を使用する事業者車両は、+10%が適用されます。
契約単位割引
契約者の1カ月の高速・国道の利用額:500万円以上
+
自動車1台ごとの1カ月の高速・国道の利用平均額:3万円以上
契約者の1カ月の高速・国道の利用額に対して10%割引
ETCマイレージサービス
ETCマイレージサービスとは
を言います。
また、ETCマイレージサービスに登録できるかどうかも、法人ETCカードによって異なります。法人カードに付帯されて発行される法人ETCカードは、ETCマイレージサービスを無条件で登録できますが、クレジット機能なし法人ETCカードの倍は、カードによって「登録できるカード」「登録できないカード」が出てきてしまうのです。
ポイントの貯まり方
- NEXCO東/中/西日本・宮城県道路公社:10円につき1ポイント
- 本州四国連絡高速道路株式会社:10円につき1ポイント
- 名古屋高速道路公社:100円につき1ポイント+α
- 愛知県道路公社:100円につき1ポイント+α
- 神戸市道路公社:50円につき3ポイント+α
- 広島高速道路公社:100円につき1ポイント+α
- 福岡北九州高速道路公社:100円につき1ポイント+α
ポイントの交換単位
- NEXCO東/中/西日本・宮城県道路公社:1,000ポイント=500円分
- NEXCO東/中/西日本・宮城県道路公社:3,000ポイント=2,500円分
- NEXCO東/中/西日本・宮城県道路公社:5,000ポイント=5,000円分
- 本州四国連絡高速道路株式会社:1,000ポイント=500円分
- 本州四国連絡高速道路株式会社:3,000ポイント=2,500円分
- 本州四国連絡高速道路株式会社:5,000ポイント=5,000円分
- 阪神高速道路株式会社:100ポイント=100円分
- 名古屋高速道路公社:100ポイント=100円分
- 愛知県道路公社:100ポイント=100円分
- 神戸市道路公社:200ポイント=100円分
- 広島高速道路公社:100ポイント=100円分
- 福岡北九州高速道路公社:100ポイント=100円分
ETCマイレージサービスが利用できれば
NEXCO東/中/西日本・宮城県道路公社で利用した通行料金は
10円 → 1ポイント
5,000ポイント → 5,000円分の支払いに充当
ポイント還元率:10.0%
という高還元率で利用できるのです。
つまり、
- ETCマイレージサービス登録不可で、走行手数料5.0%の法人ETCカード
- ETCマイレージサービス登録可能で、走行手数料8.0%の法人ETCカード
がある場合、走行する機会のある高速道路にもよりますが、還元率が10.0%と仮定すれば
- ETCマイレージサービス登録可能で、走行手数料8.0%の法人ETCカード
の方がお得に利用できるということになります。
ポイントその3.発行のしやすさで選ぶ
単純に法人ETCカードを比較すると
と思ってしまいがちですが、大口用のETCカードですので、デメリットもあります。
ETCコーポレートカードのデメリット
保証、または高額な保証金が必要
ETCコーポレートカードでは「保証」か「保証金」が必要になります。
- 銀行、農林中央金庫、商工組合中央金庫、信用金庫、信用協同組合、農業協同組合の保証
- 後納料金の支払見込月額の4倍に相当する額以上の保証金の預託
(上記の金額が10万円を下回る場合、保証額は10万円)
車両限定
ETCコーポレートカードでは、車両番号と車載器管理番号をリストにして申し込む形で、車両ごとにカードが発行されます。登録できるのは、名義が契約者と同じ車両のみです。
つまり、他の車両やレンタカー、経営者の自家用車では使えない「車両限定」のETCカードということになります。
ETC割引が一部対象外になる
平日朝夕割引という通常のETC割引を利用した場合、一部大口・多頻度割引の対象外になります。
ETCマイレージサービスは利用できない
ETCコーポレートカードは、大口利用者向けの専用ETCカードですので、ETCマイレージサービスの登録はできません。
まとめ
クレジット機能なし法人ETCカードを選ぶポイントとしては
- コストが安い
- マイレージサービスが利用できる
という点を重視すべきと考えます。
クレジット機能なし法人ETCカードおすすめランキング
1位.法人ETCカード(セディナカード)/高速情報協同組合
- 出資金:10,000円/社
- カード発行手数料:550円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):550円/枚
- 事務手数料:走行金額の8%
車両:限定なし
サービス:マイレージ可
2位.法人ETCカード(UCカード)/ETC協同組合
- 出資金:10,000円/社
- カード発行手数料:880円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):880円/枚
- 事務手数料:走行金額の8%
車両:限定なし
サービス:マイレージ可
3位.法人ETCカード(UCカード)/高速情報協同組合
- 出資金:10,000円/社
- カード発行手数料:550円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):550円/枚
- 事務手数料:走行金額の5%
車両:限定なし
サービス:マイレージ不可
4位.法人ETCカード(セディナカード)/ETC協同組合
- 出資金:10,000円/社
- カード発行手数料:880円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):880円/枚
- 事務手数料:走行金額の5%
車両:限定なし
サービス:マイレージ不可
大口利用者向け
ETCコーポレートカード(NEXCO東・中・西日本)/高速情報協同組合
- 出資金:10,000円/社
- カード発行手数料:629円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):629円/枚
- 事務手数料:-
車両:限定
サービス:マイレージ不可
割引:首都・阪神高速道路の大口・多頻度割引制度
保証:支払保証が必要
クレジット機能なし法人ETCカードの賢い使い方
法人カードの審査に通るようになったら、法人カードに付帯された法人ETCカードに切り替える
基本的には
法人カードに付帯される法人ETCカードのコスト
- 親カードの年会費(税込):0円~2,000円
- ETCカードの年会費(税込):0円~500円/枚
- ETCカードの発行手数料:0円
クレジット機能なし法人ETCカードのコスト
- 出資金:10,000円/社
- カード発行手数料:550円~880円/枚
- 年間手数料(取扱手数料):550円~880円/枚
- 事務手数料:走行金額の5~8%
と、コスト面では、クレジット機能がない法人ETCカードの方が割高であり
ETCマイレージサービスの登録も
- 法人カードに付帯される法人ETCカード:登録可能
- クレジット機能なし法人ETCカード:カードによる
ため、
クレジット機能がない法人ETCカードがおすすめできる条件は
- 法人カードの審査に通らない方
- 大口の利用で、ETCコーポレートカードで割引を受ける方
しかないのです。
「クレジット機能がない法人ETCカードには、どんなカードがありますか?」